少女-2
「あの、君!」
「……」
貞子ちゃん似の女の子は僕の声で足を止めたが、何も言わず、黙っている。僕は無意識に声を掛けたので、次に話す言葉が出て来ない、僕はとっさに左手に持っていた袋を差し出し、言った。
「あの、う○い棒食べる?」
少女は長い黒髪の下からギョロリと目を僕の方に向け、小さな声で言った。
「……いい、私、納豆嫌いだから」
「そう、納豆嫌いなんだ残念だな」
どうしよう、会話が切れた。何とかして話しを続けないと。
「あの、君、ここの娘だよね、僕、ここ来るの初めてなんだ、良かったらここを案内して欲しいんだけど…」
「……良いですよ」
少女はあっさり承諾すると、山を指し続けて言った。
「……あれは山、あれが田んぼ、あれは…民家?」
何だこの娘、電波か?何言ってんだ?
「あの、説明それだけ?」
「……ここ、田舎よ説明なんてこれで十分でしょ」
なんて捻くれた娘なんだ。外見も貞子ちゃん似だけど、内面も似てるじゃないか?