生徒の目-9
教室では、豹変した冴香の話題でもちきりだった。
「冴香ちゃん見たかよ!?」
「ああ、見たよ!どうしちゃったんだろ?急に変わっちゃって。」
「きっと男出来たんだよ!」
「彼氏にバコバコやられて女に目覚めたのかな!」
「何かエロくていい感じだよな!」
いつも以上に煩い教室が、冴香の登場でピタッと静かになる。
「起立!礼!着席!!」
静かなものだ。みんな豹変した冴香に視線を向けていた。
「では出欠をとります。相沢君。」
「はい。」
出欠が終わるまで誰も無駄話はしなかった。
(気持ちいい〜!こんな静かだなて!)
気分最高だ。連絡事項を伝え終わると、冴香に声が飛んだ。
「先生どうしたの?いきなり変わっちゃってさ!」
「ん?今までが抑えてただけよ?これが本当の私だから。」
「冴香ちゃん、男でもできたんじゃないの〜?」
冷やかしにピクンと反応する。そして微かに笑みを浮かべ見つめながらセクシーな歩き方でその生徒に歩み寄る。
「え…?」
目の前に立たれドキッとする生徒。
「別に彼氏なんか作らなくても、私は男に不自由してないけど?それに…」
「は、はい…?」
「先生に向かって冴香ちゃんはないんじゃないの?何て呼べばいいか、分かる?君。」
生徒の顎を持ち上げじっと見つめる。
「に、西野先生…」
「分かってるじゃない。フフフ」
顎から手を外しクラスに向かって言う。
「これから先生の名前はちゃんと言うように、ね?さぁ、みんな?私の事、何て呼のかな?」
「西野先生。」
全員が一斉に口に出した。冴香は満面の笑みで答える。
「いいわよ、みんな。それで。よくできたわ。」
余裕の笑みにみんなが胸をドキッとさせた。