一部の地域で迷惑-3
「おう、機械科の先輩に」
「で?」
「あ?」
「返事……」
「ああ、知らねえけどまだ誰とも付き合ってねえんじゃね?」
「ふうん……」
芳郎は再びパックジュースを口にして璃子に視線を戻す。
(……ムカムカする……)
それは多分、独占欲……芳郎は席を立つとトイレに行き個室に入った。
ポケットから携帯を出し、璃子にメール。
[放課後、いつもの所]
送信……直ぐに返信。
[うん。初メールだね]
(ぐ……可愛いぃ……)
芳郎は思わず携帯をグッと握る。
短い文面にメロメロ……しっかり保存までして携帯をポケットに戻す芳郎だった。
そして、放課後。
「失礼しま〜す」
そっと引き戸を開けた璃子は小さく中に声をかけた。
返事なし……妙にドキドキする。
(やっぱり……ヤるのよね……いや……自惚れ過ぎかな……)
よく考えればヤってからまともに顔を合わせるのは初めてだ。
入り口で何となくクズグズしている璃子……その手が何かに掴まれてグイッと中に引き込まれる。
「きゃあっ!!」
ぐりんと視界が変わり、壁に背中を押し付けられた。
あっという間の出来事に璃子はパチパチと瞬きする。
「……芳郎くん……」
犯人は勿論、芳郎……芳郎は左手を璃子の顔の横に、右手は璃子の左脇……そして、体を押し付けて動けないようにしていた。
「可愛くなった」
至近距離で囁かれ、璃子は真っ赤になる。
「ぁ……ありがと……」
芳郎の足が璃子の足の間に潜り込む。