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俺のち彼女
【学園物 官能小説】

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一部の地域で迷惑-2

『あのね、この世に未練がなくなったからあの世に行ったんだけど……拒否られちゃった』

「はあ?」

 芳郎は食器を流しに置いて洗いものを始める。

『正確にはぁ、まだ行き先が決まってないからちょっと待っててね、って感じ?』

「ああ、49日ね」

 話を聞いていた小夜美が納得しながら頷いた。
 人は死ぬとあの世と言う所に行くが、沙耶のように事故死だったりするとまだ受け入れ先が決まって無かったりするのだ。
 その為、死んでからも49日間はこの世に留まっているらしい。

「だからって……」

 何故、ここに……1度しか会った事がない芳郎の所に来るのか理解出来ない。
 しかも、会ったのは死後だ。

『璃子にちゃんとお礼を言おうと思ってぇ……でも、まさかヤってる最中とはねぇ……』

 で、芳郎に興味を持ってついてきてみたら小夜美に見つかったのだ。
 霊は心残りが無い場合、かなり薄くなり芳郎には殆ど見えなくなる。
 今だってかなり気合いをいれてないと見えない。
 小夜美は沙耶と波長が合ったようで直ぐに気づいた。
 そこで、『うちの弟に何か用か』と聞いてみたところ、今までの話をベラベラベラベラ……洗いざらいバラされた。
 幽霊の口を塞ぐ良い方法は何か無いものか、とうんざりしながら芳郎は洗った食器を乾燥機に入れてスイッチを押す。

「なぁ……璃子って前から鈍?」

 一仕事終えた芳郎は両手をテーブルについて下を向いたまま沙耶に聞いた。

『そうねえ……「付き合って下さい」って告った男子に「いいよ。どこに?」って答えてたわねえ……』

 沙耶の答えに小夜美は再び大爆笑し、霊感の無い徹雄は小夜美に話を聞いて肩を震わせる。

「ぜ、前途多難……」

 芳郎はがっくりと項垂れながら、どう言えば璃子に伝わるのか思考を巡らせるのであった。

 それから数日は何事も無かったように過ぎた。
 ただ、沙耶が喫茶店を気に入りそこに入り浸っていたが、害は無いのでほっておいた。
 49日がくれば勝手にあの世に逝くだろう。
 その間、芳郎の想い人である加藤璃子は約束通り日に日に可愛くなっていった。
 肌の手入れをし、無駄毛も処理して爪も整えて綺麗に磨いている。
 ネットだけでなくリアルな意見も必要だと、クラスのお洒落グループに話を聞いたりアドバイスを受けたりしていた。

「加藤って変わったよな」

 高野の言葉に、パックのジュースを飲んでいた芳郎はピクッと反応する。

「ま、眼鏡取ったのが1番の原因かもしんねえけど……なんか沸き上がる雰囲気?」

 ピクピク。

「フェロモン?」

 ピクピクピクッ。

「男でも出来たのかねえ〜…この間も呼び出されてたしなあ」

「そうなのか?」

 やっと返事をした芳郎に、璃子を見ていた高野は顔を向ける。


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