禁じられた恋と性(5)-1
そこは、昼間の明るい喫茶店だった。
ウイーク・デーで、丁度その時間帯は、人が数えるほどしか入っていない。
窓の外を見れば、普段は賑やかな街並みも少しばかり落ち着いている。
午後の三時過ぎの時間帯では、賑わいも一休みと言うようである。
その奥の少し入ったその場所には、二人の女が向かい合って座っていた。
空いている彼女達のもう一つの椅子には、大きな紙袋が置いてある。
それらは、どうやら色々買い物をした女達の戦利品かも知れない。
服や靴、そしてアクセサリーなど、その女が好む物のようである。
「ねえねえ、ママ、一杯買っちゃったね」
「そうね、トモミとこうしてお買い物なんて、本当に久し振りよね」
「うん、何でも買って良いって言うんだもん、トモミ嬉しくて」
「だってトモミにはいつも寂しい思いをさせているしね、その穴埋めかな」
「うん、いつもありがとう、ママ、大好きよ」
若い女は笑顔を見せて、母親らしき女と今日の買い物の話で盛り上がっていた。
美少女は、久し振りの母との買い物に大はしゃぎだった。
その美少女とはトモミである。
そのトモミの前でニコニコしながら座っているのは、彼女の母親の江梨子で
まだ四十代半ばの美しい女性である。
江梨子は自宅を小料理店として経営していて、今は独身だった。
彼女の夫であり、トモミの父親である男とはだいぶ前に別れていた。
それはトモミがまだ小さかったときであり、
原因は彼の浮気であり、飲み屋の女と駆け落ちして、それきり帰ってこない。
それ以来、江梨子は娘と細々としながら二人だけで生活していた。
店の経営は始めの頃は大変だったが、今はどうにかなり店も繁盛して
食べることには不自由はしていなかった。
それは、小さなトモミを育てながら江梨子が頑張ったからである。
トモミはそんな母親の苦労を知っていて、不平も言わずよく手伝っていた。
江梨子はそんなトモミだけが生き甲斐であり、娘を愛していた。
故に、トモミは片親とは言いながら反抗期もなく素直な少女に育っている。
彼女達は親子だけに、良く似ていた。
ぽちゃっとしたトモミの顔も体つきも母親に似ている。
少し歳が離れた姉妹と言っても、過言ではない。
二人は、注文したショートケーキやデザートなどを食べ、一息ついていた。
「美味しかったね、トモミ」
「うん、ママ、でもママがトモミをこうして・・って珍しいよね」
「あら、そうだったかしら」
江梨子はコーヒーを啜りながら微笑む。
「だって、急に今日空いてる?って言うんだもん」
「やっぱり分かる?」
「うん、何となくね、なんでも好きなを物を買っても良いって言うし」
「あら、そうかな、でもしばらくあまり買って上げなかったしね」
「ううん、良いの、トモミはママが忙しいの知っているし、嬉しいの」
「そう、良かった・・実はね」
「あ〜やっぱりぃ」
「勘の良いトモミちゃんには敵わないわね」