コロとカノジョの1日目-7
「そうなんだ。まだまだ西島の知らない部分いっぱいありそうだね」
「オレもまだ榊さんの知らない部分いっぱいありそうです。少しずつ知っていけたらいいなって思ってますけど、いいですか?」
「もちろん」
「じゃぁベッドの中の榊さんがどんな感じなのかたっぷりと…」
「はいはい、その前に昨日みたいに髪の毛乾かしてくれる?」
「喜んで。でも濡れた髪の榊さんもセクシーですよ。あ、真っ赤になった。カワイイ」
自分でも鏡見なくても赤くなってるのわかるわよ。
「そういうこと言われ慣れてないからどう反応していいのかわかんないのよ」
「えー。じゃぁオレが沢山言ってあげます」
「…職場ではやめてよね」
「わかってますって」
後ろからじゃれるようにハグをしてくる。ほんとにわかってんのかな。バスタオルを巻きつけただけの格好でお互いの髪を乾かし合ったあと、1本の缶チューハイを半分こして乾杯。西島が空になったコップをテーブルに置いただけで、心拍数が跳ね上がった気がする。
「榊さん?」
「何?」
「…もうおあずけも待ったもヤダもダメもナシですよ?」
「…わかってるわよ」
もうここまで来たら逃げも隠れもしないわよ。でもドキドキが止まらない。処女でもあるまいし、なんでだろう。そっと手を握った西島に誘導されてベッドに横たわる。
「ねぇ、せめて電気消して」
「真っ暗じゃ何も見えないじゃないですか」
そう笑いながらもメインの照明を消して、ベッドサイドのライトだけにしてくれた。それも直接当たらないように何気なく動かしてくれる西島の優しさが好きだって改めて思う。
「さ…美祈(ミノリ)さん…」
「いいよ、呼び捨てにして」
多分いつものように榊さん、って呼ぼうとしたんだと思う。名前で呼んでくれたのは初めてで、きっと勇気を出してくれたんだろうなって思ったらなんだか嬉しくて。
「美祈…」
響きを確かめるように名前を呼んで、大きな手のひらが頬に触れる。そのまま目を閉じると、優しいキスが降ってきた。おでこに、頬に、唇に。耳元でもう一度名前を囁かれて、西島の首に手を回して答える。自分から西島の唇に触れるとそれが合図のようにキスが熱を帯びたものに変わっていく。唇が離れる頃には息があがってしまうほど。離れた唇が首筋を通り、かろうじて膨らんでいる胸を滑って頂上にある乳首に触れた。何度も唇で優しく挟まれていたかと思うと舌を細かく動かして刺激してくる。もう片方の乳首は指で弄ぶ。いやらしい声が思わず溢れると満足そうに私を見上げる。恥ずかしくなって口を手で塞ぐと、その手を掴まれてしまった。
「ダメ。美祈のエッチな声聞きたいから」
掴まれてない方の手で口を塞ぐと、西島が笑う。
「もう。両手、縛っちゃいますよ?」
「そういう趣味あるんだ。縛られる方が好きなタイプかと思った」
「どっちもいけます」
「ほう。さすが経験豊富な西島くんは違うね」
「あ、ヤキモチですか?」
「違うわボケ。きゃっ」
セックスの最中にこんな会話するなんて思ってなかった。気が緩んだ瞬間に西島の手が太ももを撫で上げたから間抜けな声を上げてしまう。
「スキあり」
私の反応に得意げな西島。
「うわっ」
「スキあり返し」
油断している西島のソレを思いっきり撫で上げたから同じように間抜けな反応が返ってきて、2人で笑ってしまった。
「ムードないね、私たち」
「でも好きですよ?こういう感じ」
「うん、好き」
「こういう感じがですか?それともオレ?」
なんでコイツは小っ恥ずかしいこともストレートに聞けるんだろう。
「…こういう感じも、アンタも好き」
自分で言って恥ずかしくなって。そんな私を見て西島は満面の笑みで。
「オレも美祈が好きです。大好きです」
そう言って再びキス。
「足、開いてくれますか?それともオレに強引に開かされる方が好きですか?」
急に真顔に戻って耳元でそんなこと囁かないでよ。答える代わりに自分で足を開く。
「素直な美祈も大好きですよ」
そう言いながら西島が下がっていく。膝のあたりを掴まれて、結局強引にさらに開かれた。
「や、やだ」
ソコに西島の視線を感じて恥ずかしくて足を閉じようとしたけれど、それは許してもらえない。
「ヤダはなし、って言ったでしょ?」
そう言うといきなりソコを舐め上げた。
「ひゃん」
自分の声に驚いて再び口を塞ごうとすると下から西島の意地悪な声。
「手縛っちゃいますよ?」
私が首を横に振るのを確認するとまた舐め上げる。その度にはしたない声が我慢しても漏れてしまう。
「美祈の液、溢れてくる…」
「そういうこと言わないでよ…」
「なんで?美祈が感じてくれてる証拠だからオレ的にはすごく嬉しいんですけど」
どうやら何を言っても無駄らしい。でも正直気持ちいい。あんまりそういうことされたことなかったから恥ずかしいのに、もっとして欲しいって思っている自分がいる。口が裂けてももっと、なんて言えないけど。西島の舌がクリトリスを刺激し始め、長い指が自分の中へ入ってくる。いっぺんになんて今までされたことがなくてもう声を押し殺すことさえできない。シーツを握り締めて快感に耐えようとしても、容赦のない動きで西島が私を追い詰めていく。
「いやぁっ、なんか…なんかヘン…」
長い指が深層部をこするせいだろうか。今まで感じたことのない感覚に襲われて怖いとさえ思う。
「もしかして…美祈、イキそう?」
「や、やだ。わかんなっ。あっ。あぁっ」
「いいよ、イッて」
優しい声で言うくせに、攻めるスピードが確実にアップして、私は意識を手放した。