同じ匂いのする女-1
本当に大切なものはなくなってから、その存在の大きさに気づく。健太郎にとって雅江がまさにそうだった。雅江が退社した時は、雅江への欲求は満たし尽くしたと感じた。しかしその後、片っ端から事務員を狩っていくうちに、どうしても満たされ切れない自分に気づいていった。それを何とか満たす為により過激な行為に走っていったが、結局最後には満たされ切れない自分がいた。
「俺には雅江じゃないとダメなんだな。」
そう呟いた瞬間、雅江を奪い自分のものにする決心がついた。七恵を食おうとしているのは、雅江略奪の入り口だった。
あの顔、あの体、あの匂い、フェラ、セックス…、健太郎にとって最高な要素が全て兼ね備わっている女、それが雅江だった。そんな雅江と同じ匂いがする七恵。雅江に感じた満足感により近い悦びを与えてくれそうなな七恵に標的を向けた健太郎。七恵をいかにして口説くか考えていた。
しかしきっかけは意外にもあちらからやってきた。
週末、仕事終わりの30分前、自販機の前で一服していた健太郎の前に七恵がやってきた。
「ねぇ川田くん、お酒好き?」
「ん?ま、まぁ。」
「ホント?じゃあ今日終わったら飲みに行こうよ!」
「い、いいけど、何でまた?」
「ほら、いつも仕事で迷惑ばっかかけてるからそのお礼で。」
「別に迷惑じゃないけど、せっかくだから行こうかな。」
「じゃあ終わったら会社の下にいるね?」
「うん。」
事務所に戻る七恵の尻を見てムラっとしてしまう健太郎だった。