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ある警備員の独白
【フェチ/マニア 官能小説】

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―木曜日―-1

朝は早い。
7時半に出勤して制服に着替え、打刻をする。
深夜勤務の者との引継ぎブリーフィングを簡単にしたのち、8時から俺の勤務は始まる。
職場はS県にある化粧品メーカーP社の研究所。“水のきれいな関東近郊”を条件にこの地に建てられたとのことだが、地方の警備はなり手が少なく、俺のような未経験の50男でもありつけることができた。
とは言え、実のところ俺の雇い主は大学の同期で、そいつがここの人手不足で困っているのを聞きつけなければこの仕事も知ることはなかったし、採用など望むべくもなかったろう。その上、勤務条件もかなりの我儘を聞いてもらっている。週休完全2日、早番勤務のみ。16時半には退勤できる。
しかも、業界最大手P社の製品開発の初動段階での研究という、企業の方向性を決定する部門でありながら山深い立地の恩恵もあり、今までに事件らしい事件もなく、実質、社員の出勤退勤の検閲に簡単な見回りだけで一日が暮れる。

8時半。
研究所の人間たちがそろそろ出勤してくる。ビルのゲートでIDをスキャンして入って来た職員を、警備室窓口からIDと顔、荷物の中身を確認し、ドアの施錠を解除する。

8時42分。
来た。溝口さやか。今年29歳になる女性上級研究員だ。
化粧っ気の無い顔だが、その美しさは際立っている。田舎だから錯覚してしまうと言うわけではなく、あの女は都内でも相当目立つはずだ。皮肉なことに現地採用の20歳の受付嬢さえ見劣りする。
今朝の彼女はポニーテールに黒のタートルニット、濃いインディゴの細いデニム。足元はフラットなドライヴィングシューズというカジュアルな出で立ちだ。だが体に沿ったその服装があの女の体つきを如実にあらわしている。ほっそりしている割に胸はでかい。歩くたびに乳房が重たげに揺れるのが見て取れる。入りたての若い同僚警備員が金を払ってでも抱きたいと言っていたが、あの女なら多くの男がそう言う衝動に駆られるだろう。
ここの研究職員は15名。うち女性は2名。出向の女性総務1名、受付嬢1名。たったこれだけの人員である。
音声は無いが、モニターを観ていれば会議室でのやりとりでの表情でその人間関係もおおよその見当がつく。独身男性は10名。少なくともこの独身男性の8割がさやかに何がしかの興味を持っているようだ。そしてそれを快く思わない30代女性職員。絵に描いたような男女の鞘当てに分り易すぎる低レベルな嫉妬の図式が見て取れる。

9時10分すぎ。
出勤の定刻が過ぎると、ビルを施錠し、形ばかりの無線のヘッドセットを装着してビル内の巡回に出かける。それとてものの30分で職場の全室、全施設の見回りは終了する。
あとは警備室に戻って各所のモニターを見ていれば良い。これ以降は昼まで訪問客と着荷物の確認と関係者への連絡以外にこれと言った業務はない。楽な仕事だ。俺の第二の人生には実にふさわしい。

俺は、それまで勤めていた会社の早期退職制度を利用し、50で都内の勤めを終わりにした。勤めていた会社は、入社当時は大学生の人気ベスト10の常連企業だったが、30年近く経ったのちベスト100にも入らぬほどになっていた。時代の移り変わりとはそうしたもので、もともと会社への帰属意識の薄い人間だった俺は定年まで勤めあげようなどと言う執着も無かったから、退職者募集にも真っ先に名乗りでた。
熾烈な競争を勝ち抜いて入社した所為か、同期はおしなべて上昇志向が強く会社へのプライドも忠誠心も強かった。同世代で俺みたいな人間は稀有と言っていいだろう。俺の意識は最近の新卒社員のそれに寧ろ近く、同期とは殆ど没交渉だった。だから退職時にも上っ面だけの歓送会は全て断りあっさり東京を離れた。
退職を決めてから俺はすぐに親から受け継いだ都内の家を売り払い、得た金の四分の一でそれまで住んでいた家の倍近い広さの家をこのS県に建てた。余った四分の三の金と上積みされた退職金。ここでの薄給でも十分すぎる暮らしが出来ている。
その新居も連絡先も、当然ながら元いた会社の同僚は誰も知らない。
俺は仕事も組織も全く興味がない。それがどれほど気楽なことか、哀れなことに同期は一人としてこの感覚を知らないだろうし理解できないだろう。

さて巡回も終わったし、警備室にもどって溝口さやかの白衣姿でも拝むとするか。
モニターは全部で35機。さやかのいるD室にも1機設置されている。あの女は上級職ということもあって個室を持っており、勤務の大半はそこで過ごす。
俺はインスタントコーヒーを淹れると、昼までさやかの個室モニターを眺めるのが日課になった。週半ばの早番勤務は俺一人だから、興が乗ればここでオナニーもする。
D室のカメラは庭を望む大きな窓の脇に設置され、対角線上に位置するドアに向かっている。PCに向かうあの女の上半身が大写しになり、そこの入退室者もチェックできる。
リムレスの眼鏡をかけたさやかはPC画面を見つめながら一心に何やら入力しているらしい。
この女は何かに集中すると口が半開きになるようだ。それが、またエロい。小振りの口元を縁取るぷっくりした形の良い唇。奥から覗く白い歯。その更に奥に紅い口腔の粘膜。あれはつまり、マンコの粘膜の色だ。


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