第一章―2-6
「あ・・!瑞稀!上!」
「え?あ・・!」
瑞稀が恵梨の声に気づき、頭上を見上げる。しかしもう遅い。零の精霊術が完成した。
精霊術によって岩石が落ちてきた。
「グランホール!」
瑞稀は間一髪で避ける。
だが、落下時の風に巻き込まれ飛ばされた瑞稀の身体は壁に背中から叩き付けられた。
「かはっ!」
「瑞稀!」
そしてそのまま、倒れ込んだ。
「瑞稀!」
恵梨の呼びかけにも反応しない。
どうやら・・・
「気を失ったようだな・・」
「・・・・」
「・・?」
何も言わなくなった恵梨に対して疑問に思った零は恵梨の顔を見る。見て、驚く。先程とは全く違う表情。
まるで、百獣の王が目覚めたような・・。
「瑞稀によくも・・。瑞稀の彼氏かもしれないからって放っておいたらコレ・・?
調子に乗るな!」
「・・!!」
その言葉と同時に、恵梨のバングルから青く小さい竜が出てきた。
《久しぶりにこんな怒った人見た〜》
「・・!お前は・・!」
「・・誰・・?」