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「カオル」
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カオルC-1

「お姉ちゃん…」

 真由美の手にしたショーツに薫は戸惑う。まさか、そんな物まで用意するとは思ってなかった。

「今まで穿いた事ないでしょう?」
「それは、そうだけど…」
「ブラはしたんだからさ。これも着けなさいよ」

 手渡されたショーツを、薫は無言のまま見つめた。
 白とピンクのパッチワーク柄。今、着けている自分の物と比べると、とても可愛らしく見える。
 これを穿いた姿を想像するだけで、胸が高鳴った。

「ほら、早く」
「う、うん…」

 薫は、白いブリーフに手をかけた。その途端、真由美は目をそむける。

「ちょっと!あっち向いてよ」
「あ…ごめんなさい」

 背を向けてブリーフを脱ぎだすと、真由美の目は釘付けとなった。

(きれい…)

 以前、一緒にお風呂に入ってた頃には気づきもしなかったが、久しぶりに見た弟の尻は、白くて肌がきめ細かく、心なしか女性のような丸みを帯びて見える。

「着けたけど…」
「こっち向いて」

 薫は、恐る々、姉の方を向いた。

「へえ、結構いいじゃない」

 ブラジャーだけ着けた一昨日よりも違和感がない、と真由美は思った。

「ほら、こっちも着て見せて」

 薫は、言われるままワンピースを身に纏った。

「ああ…」

 美しく変貌した弟の姿に、真由美は顔を上気させた。

「すごくいい…わたしなんかより、女の子してる」

 身体の芯が熱くなる。真由美は弟の正面に立つと、思わず手を伸ばした。
 薫は、頬に触れた姉の手が湿っていることにに異様さを感じた。

「ほら、もっと笑って」
「う、うん…」

 鏡に映し出された自分に微笑む。許されざる行為が、薫の心を徐々に解き放つ。

「これも…」

 リップを手にする真由美。弟は、何の躊躇いもなく口をつぐんでみせる。
 濡れた桜色の口唇で、さらに女の子っぽさを増した。

「ついでに、これも」

 真由美は、自分の化粧道具の中から何やら取りだすと、薫の顔に縫った。

「出来たよ」

 薄付きのチークが、中性的な顔立ちを、より少女らしく際立たせる。
 その出来映えに、薫は思わず声を挙げた。


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