異界幻想ゼヴ・ヒリャルロアド・メイヴ-7
優しい口づけは、すぐに激しくなる。
柔らかな褥の中で恋人の逞しい腕に抱きすくめられ、情熱的なキスを交わす陶酔。
王城で色々な人達と親交を深めてから大公爵邸に戻ってきた深花を待ち受けていたのは、拗ねていた期間に触る事を許されず悶々としていたジュリアスの抱擁だった。
優しく唇を吸いながら、もどかしそうに全身を確かめる指先。
鼻先を首や胸に埋めては匂いを確かめられ、唇と舌で直に体を探られる。
髪を乱され、服も下着もはだけられてベッドに寝転がるその姿はしどけないの一言に尽きる。
「は……」
下着からまろび出た乳房に指を這わせるのは、もう何度目だろうか。
硬い布地が柔らかい膨らみに食い込んで形を歪めている様は、背筋がゾクゾクするほど卑猥だ。
淡い色の乳首はすっかりしこって立ち上がり、彼女が身動きする度にいやらしく揺れて彼を誘惑する。
細い腰までたくし上げたスカートから伸びる足はシルクのストッキングに包まれ、清楚な白のガーターベルトで吊られていた。
ガーターベルトの上から履いたショーツには、蜜がじっとりと染みている。
「あ……!」
ぴく、と深花は震える。
乳房を愛でた指が胴を滑り、スカートを剥ぎ取って下半身を下着だけにしてしまったからだ。
「や……!」
男の顔が蜜の染みた部分に近づいて、くんと鼻を鳴らす。
鼻腔に流れ込むのは甘酸っぱい、発情した牝の匂いだ。
濡れて透けてしまった布地を隔てて、複雑に震える女芯が見える。
指をかけて頼りない布切れを剥ぎ取れば、愛液がどろりと溢れ出した。
目を細めて、ジュリアスは舌を伸ばす。
今はただ、この甘い蜜液を堪能したい。
舌を触れさせる直前、ふと思いついて目線を上にやる。
彼女ははしたないほど濡らした場所に顔を埋められる快楽の強さを思い知っているせいか、ベッドシーツをぎゅっと握って目をつぶっていた。
しかし、待ち受けている甘美な刺激はまだ来ない。
彼女がうっすら目を開けて様子を窺おうとした所で、赤く膨らんだ真珠に吸い付く。
「ひあっ!?」
狙い澄ましたタイミングは相当効いたようで、深花の全身に痙攣が走る。
強すぎず弱すぎず、舌のざらつきを使ってゆっくりと舐め蕩かしてやるとか細い声を上げながら、深花は腰を妖しくくねらせた。
片手はシーツをきつく掴み、もう一方はジュリアスの頭に添えられる。
髪を掴まない辺りに気遣いが感じられて、彼は微笑んだ。
昔の女の中には快楽に夢中になったあまり、こっちの髪を引き抜くとんでもないのがいたのだ。
頭に添えられた手は、はたして何を意味するか。
もっと、ならば十二分に応えてやる。
嫌、ならばさらに感じさせてやる。
とめどなく溢れ出す花蜜を啜りながら、彼はそんな事を考える。
硬い突起を舌先で嬲り、滲出口の中に捩込んでは掻き混ぜる。
「あぁ、んぁ、あっ!」
反応を見る限り、この手はもっとの意味なようだ。
「ふうぅ……!あうぅ!」
快楽に溺れて華奢な体をくねらせる様は、まだ半分服を着ているせいか余計淫らに映る。
「あっ、あっ、ああっ!」
ぷるぷると首を左右に振り始めたのは、限界が近いからだろう。
ジュリアスは顔を上げ、ストッキングの手触りを楽しみながら深花がひとまず落ち着くのを待つ事にする。
程よい肉付きの太股から膝小僧、もちもちのふくらはぎを経由して硬い脛。
細い足首を撫でてから足の甲をさすり始めた辺りで、深花は上がっていた息が落ち着いてきたらしい。
足を撫でられているのに気づいたらしく、戸惑い気味に眉をしかめる。