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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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白い世界-1

 ファンの北の海岸は切り立った崖になっている。
 その崖っぷちに立ったキャラは海を埋め尽くす魔物軍団の中心にいる人物を見ていた。
 ひょろ長い体型に青白い肌、紫色の長い髪、金色の瞳……男の背後には虹色に光る水晶の塊……ベルリアの話によると、アースの言った通り魔力の塊らしい。

「我はキアルリア=C=ファン。知識ある魔獣とお見受けするが、このファンの地に何用か?」

 キャラの言葉を聞いた男はニヤリと不気味な笑顔を浮かべた。

『……私は君達にも君達の命にも興味はない……興味があるのは……眠っている山だ』

 男の返事にその場に居た全員の頭に疑問符が浮かぶ。
 眠っている山とはファンの中心にある火山の事だろうが、そこにどんな用事があると言うのか……。

『……あの山に、この水晶を落としてみようと思っているんだ』

「何だと!?」

 そんな事をしたらどうなるか……子供でもわかる答えにキャラは背筋が凍る。

 全大陸を巻き込む大噴火。

「噴火によって何かそちらにメリットが?」

 少し震える声で聞いたキャラに男は含み笑いをしながら答えた。

『私が求めているのは噴火によって生まれるエネルギー……それを使って異世界をこっちの世界へと引き寄せる』

「?!」

 そうするとどうなるのか解らずに、キャラは背後に居る魔導師2人に目を向ける。
 2人の魔導師とグロウは顔を強張らせていた。
 暫くしてアースが重く口を開く。

「……グロウに聞いた事があるんだが、異世界はエネルギーが渦巻く空間らしい……それに飲み込まれたら……多分、人は生きていられん」

 生き残る可能性があるのは純魔獣、魔獣の血が濃い精霊や魔物……そして、魔獣ハーフのアース。

『……そうすれば……争いの無い世界が出来る……』

 男はポツリと呟く。

「そんな世界に意味は無い!!」

 人が居なくなれば争い事は確かに減るだろうが……。

『意味?あるよ……それがイレーヌの望みだから』

「イレーヌ?」

 他に召喚師が居て、その人物の命令なのだろうか……。

『おしゃべりはここまでだ』

「!!」

 突然、男の体が光り、グンと大きくなる。
 ズンズンと大きくなると共に光は細長くなり、先が2つに割れた。
 光が治まった時、そこには全長10メートルの2つの頭を持つ大蛇が居た……しかも、紫色の。

「「ザギ?!」」

 アースとキャラの声が重なり、グロウが牙を剥いて唸った。
 頭は2つあるが、ぬめった質感といい、どうにも好きになれそうにない金色の目の輝きといい……セブの人身販売組織スネークの男についていた精霊……いや、魔獣に間違いない。


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