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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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白い世界-20

「っ馬鹿野郎がっ……!!」

 アースは小さく舌打ちするとアビィに声をかけた。

「アビィ、行けるか?」

『キュッ』

 返事をしたアビィによじ登るようにして乗ったアースは、火口へとアビィを向かわせた。


 体を起こしたキャラは軽く頭を振って意識をハッキリさせる。
 休火山とはいえマグマは存在しているので、やはり火口付近は熱気が凄い。

「オーウェン」

 すぐ横に転がっているオーウェンに声をかけると、ピクリと反応があったのでとりあえず安心して飛んできた方向に目を向けた。
 もうもうと上がる爆煙がもり上がって、ザギが姿を表す。

「ザギ!!」

 キャラは立ち上がると両手を広げてザギを遮った。

『イレーヌの望みがもうすぐ叶う』

 ザギの言葉にキャラは声の限り叫ぶ。

「何で解らないんだ!!イレーヌが望んだのはただの日常だ!!」

『違う……争いのない世界だ……』

 キャラは頭上を通過するザギの心に届いてくれ、と祈るように言葉を続けた。

「そうじゃない!!言葉に囚われるなっ!!イレーヌが望んだのは家族と共に生きる毎日!!平凡に続く明日だ!!」

 火口の真上まで来たザギはピタリと動きを止める。

「イレーヌの望んだこの世界を……お前は壊すのか!?」

 ザギはゆっくりとキャラに振り向き、その体がぼやけて龍の体と人型の姿が重なった。

『ここ……は……イレーヌの望んだ世界か……?』

 完全に龍……魔力の塊と分離したザギはキャラと視線を合わせてポツリと、小さい声で聞く。

「そうだ!!お前が居るここが……イレーヌの望んだ世界だ」

 視線を反らす事無く、ハッキリと答えるキャラ。

『そうか……ここがイレーヌの世界なのだな……』

 ザギはゆっくりと空を仰ぐ……魔力の塊が分解され、キラキラと雪のように散っていく。

『あぁ……綺麗だな……イレーヌ……』

 ザギは薄く笑うとスゥッと火口へと落ちて行った。

「ザギぃ!!」

 キャラは落ちるザギに飛び付いて片手を掴む。

「馬っ鹿野郎!!」

 同時にキャラの背後からアビィに乗ったアースが現れ、ザギの手を掴んだ。


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