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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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白い世界-21

「ぐっ!!」

 ビキッと右肩の傷口が開き、血が滲み服の下から流れてくる。
 ザギとキャラ、2人の体重を右腕1本で支えたアースは左手でキャラの襟首を掴んで先に引き上げる。
 アビィの上に引き上げられたキャラは両手でザギの腕を掴んだ。

『何故……』

 助けようとするのか、と問うザギにアースはギリギリと歯をくいしばりながら怒鳴る。

「うるせぇ!!知るかっ!!」

「ザギ!オレと契約しろっ!!異世界へ戻れっ!!」

 そうすればザギを支える手間が省ける。
 しかし、ザギは静かに首を横に振った。

『無理をしすぎた』

 魔力の塊との融合に全てを注ぎ込んだのだ。

『それに、すまないがイレーヌ以外と契約する気は無い』

 ザギの体がぼやけていく。

「……妬けるな」

 ザギの腕を握りしめているキャラの手が震えた。

『イレーヌが……待っている……』

 最期にザギは2人を見て微笑んだ。

『すまなかった……明日を……頼む……』

 これから続いていく未来を……そう言ったザギは光に包まれ、その光は直ぐにほどけて消えた。

 その時、ザギを掴んでいた2人の頭にザギの記憶が流れ込んで来た……北の兵士に問い詰めるイレーヌ、そのイレーヌを貫く槍、制御を失って暴れる魔獣達……家族が殺された事に気づいたイレーヌを脅威と見なした北の王はイレーヌを殺し、その結果、暴れだした魔獣によって滅ぼされたのだ……。

「これが真相か……」

 きっとイレーヌが殺された時点でザギは狂っていたのだ……気が狂う程にイレーヌを愛していた。

 ザギが消えた事でバランスを取り戻したアビィが大きくはばたいて火口から出る。
 目の前には分解を続ける魔力の塊……。

「まだ、終わってねぇな」

 魔力の欠片が次々と火口に落ちて溶岩がボコボコと音を立てていた。
 大噴火とまではいかないが、確実に噴火するだろう。
 それをどこまで抑える事が出来るか……そこが勝負の分かれ目だ。

『儂が止める』

 アビィに並んだオーウェンは魔力の塊を見ながら2人に声をかけた。

「?」

 嫌な予感がしたキャラは不安気な顔をオーウェンに向ける。


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