白い世界-14
『諦めろザギ！！てめぇの負けだ！！』
グロウの声にザギは顔を険しくして言い返す。
『小癪な！！』
ズオッとザギが巨大化し、近くにいた魔物や兵士達が押し潰された。
「貴様っ……」
あまりの惨状にキャラの怒りが爆発しそうになる。
『覚悟するがいい！！』
ザギは牙を剥くとグロウに襲いかかった。
『喰われてたまっかよっ！』
グロウは陽炎で全身を包んで結界を作ると、剣を構えてザギを待ち受ける。
ギャキッィン
グロウの剣とザギの牙がぶつかり、不快な音が響いた。
『雷！！』
『ぐあ゛ぁっ！！』
ぶつかったと同時にザギの口から雷がほとばしり、グロウはそれをまともに浴びる。
「！グロウ！！戻れっ！！」
『！？』
アビィの背中からキャラが叫ぶとグロウの体が光り、輪郭がぼやけて光の粒になる。
光の粒は風のようにキャラの中へと消えていった。
『！！魔獣だと！？……そうかっ分離したのか……』
「ご名答」
キャラの返事にザギはハッとして周りを見渡す。
今まで居たのが魔獣だとしたら、人間の方の魔導師は……。
『まさかっ』
ザギは慌てて自力で浮いて移動している魔力の塊の方へと移動し始めた。
「バレたか……蛇が塊の方へ行くぞっ！！食い止めろ！！」
キャラは兵士達に命令を下すと、エンに頷いてザギの目の前を飛ぶ。
『邪魔をするな』
「邪魔するに決まってっだろ！！」
ピシッ
その時、魔力の塊に大きくヒビが入った。
ヒビは細かく枝分かれすると塊全体に広がる。
『させるかっ』
ザギは体をぐぐっと縮めると一気に伸ばし、驚異的な跳躍力で塊に飛び付いた。
そこには塊を分解しようと両手を塊に着いて集中しているベルリアとアースの姿がある。