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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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君のいる景色 -8

「アース?!」

「おぅ、キアルリアか?ちょっと待っとけ」

 突然、地面の中から現れようとするアースに、慌てたキャラは思わずエンに視線を走らせる。
 エンはキャラの視線に気づくと、ひきつった顔で諦めた様に頷いた。
 素直に話して潔く怒られよう……エンの表情はそう語っている。

「酷い目に合った……」

「悪ぃ悪ぃ」

 地中から這い出してきたのは、冒険者、デレクシス、ケイ、そしてアース。
 奇跡的に全員擦り傷で済んだ。

「「アース!!」」

 キャラとエンは同時に駆け出し、体をはたいているアースの目の前に立つ。

「ゴメン!!エンさんと浮気した!!」

「ごめん!!キャラとヤっちゃった!!」

ビシッ

 今度こそ感動の再会をしようと思っていたのに、開口一番とんでもない事を言って頭を下げる2人にアースの表情が固まった。
 ピキーンと張りつめた空気の中、アースの女に手を出した勇気あるエンにゼビア騎士団から賞賛の眼差しが送られる。

「……人が……死にかけてんのに……」

 地獄の底から響くようなドスのきいたアースの低ーい声に、エンとキャラは頭を下げたままビクッと体を震わせた。

「お前らは何をやってやがんだあぁ!!」

ゴッ ゴッ

 怒号と共に振り下ろされたアースの鉄拳は、2人の頭に平等に衝撃を与える。

「っいったあ〜」

「…………」

 エンは頭を抱えてしゃがみ込み、キャラはなんとか立っていたが、やはり頭を抱えていた。
 女だろうが姫だろうが恋人だろうが容赦無く制裁を加えるアースに、見ていた全員が背筋を寒くする。

「……あんたが悪い……」

「んああ?!」

 ボソリと呟いたキャラにアースは怒りの声で聞き返した。

「あんたが悪い!!」

 キャラは片手で頭を押さえながら顔をあげてアースに怒鳴る。

「なぁんで俺が悪ぃんだよ!?浮気したのはそっちだろうが!!」

 逆ギレにもほどがある、とアースも怒鳴り返した。

「目の前であんな消え方されたら誰だっておかしくなる!!」

 更に怒鳴り返すキャラの目から涙がポロポロ零れ、アースは思わずギクリと固まる。


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