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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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君のいる景色 -9

「オレらが……どんだけ……怖かっ……たと……思っ……!!」

 キャラの怒鳴り声はだんだんと小さくなり、遂には両手で顔を覆って声をあげて泣きだしてしまった。
 キャラがこんなに感情を露にするのを今まで見た事が無い。
 しかも、ファンの兵士もいるこんな大勢の前で。
 キャラの泣き声が響く野営地の全員がじとーっとアースに視線を注いだ。
 その視線の意味は『あーあ、泣ーかした』と言った所だろう。

「くっそ……ずりぃよなぁ……」

 アースは頭をガシガシかきむしるとキャラの肩を抱き寄せた。

「わーかった……わかったから泣くな……」

 キャラを抱き寄せたのは右腕……その事に気づいたキャラは益々盛大に声をあげて泣く。

「あぁっもう!!悪ぃちょっと抜ける。親父、そっちに居るのはケイ。水の精霊つきだ。海の様子も見てきたし色々試したから聞いてくれ。エン!!」

「ういっ!!」

 慌てて立ち上がり妙な返事をしたエンを、アースは左手でもう一発殴った。

ゴキッ

「とりあえずこれで許してやる!!」

「……どうも……」

 とりあえずという所が気になるが……どうやら許してもらえたようでエンはホッとする。
 アースはキャラを抱き上げると歩いて森の奥へと移動した。


「ふっ……ひっく……」

 大きな木の根元に腰を下ろしたアースは、いまだに泣き続けるキャラの頭や背中を擦る。
 森の中は静かでアースも一言も喋らない。
 キャラの泣き声がやんで静かになった頃、やっとアースが口を開いた。

「落ち着いたか?」

 優しい囁き声にまた涙が込み上げてきて戸惑う。
 どこか壊れてしまったのではないか、と不安になるぐらい感情が溢れて抑えられない。

「……まだだな……」

 再び嗚咽をもらすキャラにアースはため息をついた。

 キャラが泣いている間、アースは考えていた……もし逆の立場だったら自分はどうしていただろうか。
 全てを振り切ってキャラを追いかけただろう……しかし、キャラには振り切る事が出来ない……振り切るには背負っているものが大きすぎる。
 国を第一に考えるキアルリアとしての自分と、アースの元に行きたいキャラとしての自分に板挟みになってしまったのだ。
 それをキアルリア側に引っ張るためにエンと寝たのだろう……自傷行為に似た行動にアースは呆れる。


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