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とある街のとあるモノガタリ-2nd
【純愛 恋愛小説】

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変化-カイキside--1

 明希が湯来さんのアパートに戻ってきて3週間。

 怪我のせいで昼間のバイトが出来ず、主な外出は夜間高校だけ。朝昼晩の食事は下の喫茶店で食事して、課題が無ければたまに手伝いに降りてくる。

 そんな感じだった。

 それがここ数日違っていた。

 何が違うかと言うと、顔を合わせても、目を合わさない。
返事が素っ気なくて、会話が成り立たない。湯来さんが居なくなると、逃げるように姿を隠す。

 これだけのことがあると、嫌われたんじゃないかと思う。

 出会って早々、押し倒した上に酷いことを言ったから仕方ないのかもしれない。それならそうと言ってくれれば良いのに、なんて思ってしまうのは自分勝手な話なんだろうな。

 でも、正直言って、やりにくい。

 なんて思いながら、部屋のドアを開けると、良いのか悪いのか出掛けようとしている明希と会った。

「!」

 案の定、硬直。一切、言葉もなく固まってる。

「明希…………」

「っ お、お、おはよっ」

 それを言うなり、明希は全力でアパートの外階段を駆け降りていく。

 やっぱり、あからさまに変だ。

「…………」

 確定か。あからさまな拒絶。どう見ても嫌われてる。

「おはようございます」

 自分に納得させていると、後ろから声を掛けられた。振り向けば、隣の住人。確か、桐原昌哉(キリハラマサヤ)。最奥の部屋の明希と俺の部屋の間に住んでいて、明希より1週間後に越してきた人。

「…………おはよう、ございます」

 返事を返すと、爽やかに笑ってまだ何かを告げようと口を開いた。

「明希ちゃん、居なかった? 声が聞こえたんだけど」

 何故だか、ムカついた。

「…………知りません」
「何だ。そっか。お茶でも誘おうかと思ったのにな」

 更に腹が立つ。

 相手にせず、鍵を掛けてアパートの階段を降りた。そのまま喫茶店に入って、厨房に顔を出した。

「…………おはようございます」
「あら、おはよう。カイキくん」

 厨房で下準備を始めていた湯来さんに挨拶して、自分のエプロンを着て、いつも通り手伝いを始めた。


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