幼なじみの法則C-4
「んで?」
「かなはつき合ってる奴いるの?」
『えっ!まさか!いないよ!』
「そうなの?
へー、かななら同世代ウケ良さそうだけどね」
ええ!さっき逃げたくせに、またその話に戻るの!?
ココアブレイクが済んだらもうカテキョ再開かと思ってた。
なんか….
なんだろ。好きな人に恋愛面を気にされるのって、くすぐったい。ノートの端に、意味のない円をたくさん描いてしまう。
『んー、だって….』
返事をする前に、視界の端で健吾の様子を探った。あたしと健吾は横に並んで座っているけど、肘を机について上体をこっちに向けているのがわかる。健吾は人と話をする時、ちゃんと相手の目を見る人だ。見習わなきゃと思っていた仕草が、今日はいやにドキドキする。
….これは、あたしなりの真剣な気もちを伝えるチャンスなのかな。
意を決する。心の中でだけ深呼吸。
『告られたことはあるよ。ありがとうって思ったりするけど….でも、誰かとつき合ったことはないよ。
あたしは好きな人のいちばんになりたいし、それじゃなきゃ意味ないから』
……..
少しの間、しん、となった。
あれ、言い方まずかったかな。息がつまりそう。
「….へぇー、かなはホント、しっかりしてるよな。
そういう考え方もだけどさ、何をするでも全力だし」
健吾は感心したような口調で返してきた。
いつもの適当な返事ではないけど、なんだか人ごとのような口調だ。すごく細い針で、心臓を軽くつつかれたような痛みが走った。
今度は、心の中だけじゃなく実際に深呼吸して口を開く。