野生の悪魔が現れたっA-2
(もう少し守護の力を与えた方が良さそうだな……)
澪がこさえた物体に守護の力を与えることで、魔族らがそれを感知し、否が応でも彼から離れる事になる。
何故なら守護の力を持つ彼女は“此方の世界”の秩序を守る一人なのだ。
(付け焼き刃だが仕方あるまい。効力が消える前に正体を探すか……)
彼女は白い翼を広げ、飛び立つ。
壁などないかのようにすり抜けると、水前寺の家を目指して空を舞った。
***
踵を返した修一は慌てて敦子に向き直った。
催眠を解き忘れていたらしい。
――魂を浄化せん。
「……っ……片桐君……?」
ふっと意識を戻した敦子は辺りを窺うような素振りを見せ、しかし何事もなかったかのように修一と視線を合わせる。
「先生、明日ゴム買ってきて」
「え? ゴム?」
「そう、コンドームね」
詳しく聞かされ、敦子は顔を赤くした。
「これ命令だから」
「……わかった」
「あ、そうそう。二人の時は敬語を使え。あと、俺を呼ぶときは『修一様』って言うんだ。わかった?」
「は……はいっ……修一、様……」
マインドコントロールは確かに成功しているようだ。
上機嫌の修一は今度こそ敦子に背を向けると、足取り軽く教室へ引き返した。
昼休みに入る直前、修一はとても大きな悩み事に頭を抱えていた。
友美でヌくか、麻里子でヌくか、それとも他の誰かでヌくか……考えるだけでアソコが痛い。
何しろ、無限大の性処理欲求を意図も簡単に満たせるのだ。
別にクラスメートでなくても、堕としたての敦子や他のクラスの同級生、女ばかりの先輩、つい先日入学式を迎えたばかりのほぼ中○生な下級生……皆彼の力の前では簡単に股を開かざるを得ない。
自然と鼻の下が伸びてしまう修一は、ふと空席の一つ隣の席……今日は休んでいる澪の隣の席に居る真山花梨(まやまかりん)に視線が向かった。
花梨には苦虫を噛まされた事があった。
彼らの入学式の日、花梨は修一を一瞥し
「汚らわしい……」
と吐き捨てたのだ。
花梨にしてみれば、女子高だった場所に入る男の心中など下心満点に違いないと思っていた。
その考えが、あの台詞を吐かせたのだ。
しかし修一には身に覚えのない屈辱を浴びせられたことに変わりはない。
確かに太腿を鑑賞し、愛する右手で扱き倒してはいたが……。
だがそれは過去の話。