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HOLIDAY
【女性向け 官能小説】

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HOLIDAY U-4

ぴんぽーん。
チャイムが鳴った。

「姉貴かも…」

美里さんは肯くと玄関へ行った。
話している声がきこえる。やっぱり姉貴だ。
そして、美里さんは姉貴を連れて戻ってきた。

「まぁーまー!」

悠太が走り姉貴にしがみつく。

「どーしたの?」

抱き上げた胸にしっかりとしがみつき、わんわん泣いた。

「もう、いいだろ?姉貴。結局、悠太が一番割食ってたんだよ」
「そっか。ごめんね、悠太」

泣きじゃくる悠太の背中をとんとんと叩く。

「あんた、帰るわよ。明日も早いんでしょ」
「あ、うん。帰る、帰るよ」

今までになく明るい顔で笑った。
これで落ち着くか。

「どこに行ったのかと思ったよ」
「行くトコなんかないわ。どこにもね。頭冷やしにコーヒー飲んできただけ」
「よかった…」





悠太もようやく落ち着いて、今度はきゃっきゃと笑っていた。

「あーあ、この子帰るまでに寝るわよ。消灯前だわね」
「そだね。この時間だもんね」

涼ちゃんが姉貴の胸元で笑う悠太の顔を覗き込んで微笑んだ。

「じゃ、悪かったわね、美里ちゃん」
「おじゃましました。美里ちゃん、圭ちゃん、ごちそうさまー」

あわただしく、3人は帰っていった。





「なにしに来たんだか」
「美佳さんね、『ここにいたんだ。良かった』って。玄関で」

僕はカセットコンロを箱にしまい、彼女は皿を流しへ運んでいた。

「ん?」
「涼さんの実家に帰られてたら捕まえにいけないって」
「そりゃそうだな、アイツ、迎えに来て欲しいからここに来たんだよ。ヤツの実家じゃあ話がこじれるし。……バカバカしいかぎりだけど」

私生児である姉貴には相手の家族に対して引け目がある。
向こうで嫌われているとかいうのではないらしいけれども(涼ちゃんの話では好かれてるぽいんだけど)。
その感覚は僕も持っている。
自分が悪いわけではないとわかっていても、感覚として負い目がある。

腕まくりをして食器を洗おうとする彼女を後ろから抱き締める。
そんな僕を愛してくれる美里さん。
邪魔者は帰ったし。
柔らかな乳房に指を這わせる。

「ん。まだ、お鍋とかお皿とかかたづけてないし」
「明日の昼に僕が残った鍋の中身ごとかたづけますよ。せっかくの休日だったのに」

美里さんは僕の胸の中でクスクスと笑っている。

美里さんは明日の朝には会社へ。
僕は昼過ぎまでだらだらと寝るつもり。

「そんなこと言って。……あんな風にみんなとわいわいするの、好きでしょ?」

お見通し。
場を盛り上げたりするのはなんだか気後れして苦手だけど、それを見ているのは結構好きだったりする。
仕事としては、それなりに盛り上げもするが。(まあ、それはだいたい姉貴の担当だけど)

「ふ…。まあね」

はぐらかすように、きつく抱き締めると、彼女が僕の腕に触れた。

「ね。お風呂行きたいな…」

振り向いた美里さんは僕の頬にキスをすると、やんわりとした力で僕の腕を解き、離れた。

「あ、そうだ」

洗面所に行きかけた美里さんがひょこっと戸口から顔をのぞかせる。

「ところで、さっきのキンテキってなあに?」
「……」

可愛らしく首を傾げる。
一瞬、分かって言ってるのかと思ったけど。そんな顔つきじゃないな。

「もう、頼むから忘れてください、それ」

僕は項垂れた。


Fin.


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