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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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カウントダウン-3

「ちょっ……待って待って!だからアビィを置いてきたんですよぉ〜」

 アビィと意識を共有すればいつでも様子は見られる。
 ただ、暫くはそっとしておいた方が良いから、とエンは抱きついてラインハルトを止めた。

「……わかった……」

 納得してくれたラインハルトにエンはホッとする。

「わかったから……離してくれないか……?」

 抱きついたままのエンに、ラインハルトは顔を赤くして訴えた。

「あ……ゴメンなさい〜あはは〜結局汚れちゃいましたねぇ〜」

 着替えてきて下さい、と上着を脱ぎながら言うエンに従いラインハルトは部屋を出た。

「……こんな場合じゃないのに……」

 エンに抱きつかれた事でドクドクとうるさく鳴った心臓を押さえたラインハルトは、心底自分が嫌いになる。

 一通り体を洗ったキャラは、浴槽で泳いでいるアビィを足でずらして頭までお湯に沈む。

(大丈夫……大丈夫……大丈夫……)

 自分を抱きしめて何度も言い聞かせた。
 息が苦しくなってお湯からブハァと顔を出すと、きゅるんとアビィが見つめてくる。
 微笑んだキャラはアビィの頭を撫でた。

「……アビィは怪我しなかったか?」

『キュ』

「そっか、魔力は?分けようか?」

 キャラの申し出にアビィは大喜びで水面を叩く。
 キャラはクスクス笑いながらアビィを胸に抱いた。

(諦めない……諦めて……たまるかっ……)

 アビィに魔力を分けながらキャラは奮起する。

「よしっ!!行くか!」

『キュア♪』

 キャラの声にアビィが返事をした時……ある事に気づいたキャラはサァっと青くなった。

「ちょっと!!エンさん?!アビィと意識切って下さい!!」

「あはははは〜バレたかぁ〜」

 バスルームから聞こえたキャラのいつもの声に安心したエンは、裸体も拝めたし肌の感触も堪能できてラッキー、と明るく笑った。

 ガウンを着てバスルームから出てきたキャラはムスッとした顔でエンにアビィを渡す。

「心配かけてすみません。もう、大丈夫ですから……」

 自分を心配してアビィと意識を共有していたのだろうからあまり怒れないが……裸を見られたうえに、肌の感触まで堪能されては居たたまれない。

「そう、良かった。じゃあ僕は行くけど〜もう少し休んでなね?一応アビィと一緒に居て?良い?」

 エンはアビィをキャラに戻して首を傾げた。
 間延びした話し方なのに有無を言わせぬ響きがあり、こういう時エンはやっぱり年上なんだなあ、とキャラは痛感する。
 アビィを抱いて大人しく頷いたキャラに、にっこりと笑ったエンは部屋を出ようとして、ぐらりと揺れた。


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