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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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カウントダウン-4

「エンさん?!」

 エンは壁に手をついてなんとか体を支える。

「はは……かっこ悪ぅ〜…ちょっと魔力切れ……」

 行きはキャラが魔力を供給してくれたが、帰りはキャラがショック状態になってしまった為に魔力がもらえず、エンとアビィだけの魔力だった。
 ぎりぎり残った魔力でアビィと意識を共有していたので、ここで限界がきたらしい。

「すみません……でも、さっきアビィに魔力分けましたけど?」

「僕からアビィに魔力は分けれるけど、アビィからは無理みたいなんだよねぇ〜」

 エンは壁に背中をつけるとフゥと息を吐いた。

「……オレが分けましょうか?」

 キャラの申し出にエンは目をぱちくりさせる。
 人間同士の魔力の受け渡しは口移しだ。

「いいよぉ〜僕ヘタだから〜」

「?……キスが?」

「違ぁ〜う!魔力吸うのが!!」

 魔力の受け渡しに必要なのは、吸う側の心得。
 相手の魔力を捕まえて引きださなければならないのだが、エンは捕まえるのが下手だった。
 昔、練習台になってくれたリンに『アンタにだけは魔力を吸われたくないわ』と言われた程だ。

「ちょっと休めば大丈夫だからぁ〜」

 壁にもたれたままズリズリと床に座り込んだエンの顔色は青白く、とても大丈夫そうには見えない。

「大丈夫じゃないですよ」

 横に両膝をついたキャラがエンの額に手を当てると、エンは困った顔をした。

「もぅ〜キャラってば無防備すぎぃ〜襲っちゃうよぉ?」

 エンの台詞にキャラは苦笑いする。

「そんな元気もないクセに……」

 キャラは自分からエンに顔を寄せた。

「……アースには内緒にしててよぉ?」

 観念したエンはキャラの後頭部に手をやり、湿った髪を掴む。
 遠慮がちに唇が重なるとエンの魔力が細く入って来るのがわかった。

「……っうぅ」

 エンの魔力は炎のようで、あまりに熱い感触にキャラは思わず声を漏らす。

「……だから言ったのにぃ〜…でも、もう止まんないから……ちょっと我慢して?」

 少し唇を離したエンはそれだけ言うと再び唇を重ねた。
 細い炎は体内を探るように動く。

「ふぅ……んっ……」

 炎はキャラの魔力を見つけると、ぐるぐる巻きにしてゆっくりと吸い始めた。
 体の中が異常に熱くてアビィを抱いた腕に力が入る。


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