カウントダウン-19
「他の国の王様達も御同様ですよ?」
キャラは空いている席に座ると脚を組んだ。
「逃げるのは性に合わねぇ。だが、まずはお前ぇさんの考えを聞かせてくれや」
キャラの本性を知っているゼビア王は、自分も素になりニヤリと笑う。
「第1に、魔物が向かってきているのはファン。って事はファンが指揮をとるのが当然」
キャラの言葉を王達は黙って聞いている。
「第2に、皆さんが協力してくれるなら、オレは各国の特徴を生かして作戦をたてられます」
ファンは全ての国と付き合いがあるので、特徴も把握しているし、キャラは暫くゼビアに居たので魔法の事もわかっている。
「付け加えるとオレの魔獣、グロウはゼビアの騎士団隊長、アース導師の記憶を持っているので、知識と経験が豊富です」
足りない部分はグロウに補ってもらう、とキャラは言った。
「相手が何を狙っているか……アース導師が言った通り大陸制覇か、ただの通りすがりかはわかりませんが、問答無用で攻撃してきてますんで、容赦しないつもりです」
キャラは両肘をつくと指を組む。
「それで?ファンに……オレに協力して下さるのはどこの国ですか?」
挑むような視線を各国の王に走らせると、ゼビア王が大爆笑した。
「ゼビアは全面的に協力すっぜ。今回は俺よりもキアルリアの命令優先だ。わかったか?」
ゼビア王の言葉にゼビア騎士団は敬礼で答える。
他の国もゼビアに従い協力を約束してくれた。
「では、王族の皆さんは避難場所へ」
キャラの台詞に今度はサイラ王が文句をつける。
「兵士だけ差し出して自分だけ安全な場所へ行けと言うのか?!そんなのは王族のやる事ではない!!」
予想通りの反論にキャラは手を腰に当てて大きくため息をついた。
「邪魔なんだよ」
「なんだと?!」
サイラ王は顔を赤くして、今にもキャラに掴みかかりそうな勢いだ。
「偉そうにふんぞり返ってるだけの爺ぃが居ると邪魔だっつってんだよ!!自分の年考えろ!!あんたの介護しながら戦えるか!!」
キャラの罵声に兵士らはうっすらと笑う。
言い方は酷いが、兵士達の本音でもある。
自分達の命も危ないというのに、自分の身も守れないような者が現場にいたら気が気でない。
「お父様、キアルリア姫の言う通りにしましょう。わたくしが残りますから」
怒り心頭のサイラ王をなだめたのはイズミ姫。
イズミはサイラ王を連れて行きながら振り向いてキャラにウインクした。
イズミの気遣いに感謝しつつキャラは兵士達に声をかける。