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sweet chocolate
【OL/お姉さん 官能小説】

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sweet chocolate-3

営業所に戻ると真っ暗で誰もいなかった。しゅーちゃんから紙袋を受け取り、事務所の奥にある休憩所兼男女混合更衣室の自分のロッカーにしまう。男女混合更衣室といっても着替えるのは私だけで、使用中は鍵をかけられるようにしてくれてあるけれど。事務所に戻ると、しゅーちゃんは自分の席に座りパソコンを操作していた。ちょうどその後ろ姿を眺めるようなポジションに立っていた私はついみとれてしまう。

「どうした?」

視線を感じたのか、しゅーちゃんが振り返る。ここじゃ素直な感想なんて言えないから頭を小さく横に振ると、ふわっと笑ってくれたあと、すぐに画面に視線を戻した。そのほんのわずかな笑顔にいちいちときめいてしまう。

「あ、鈴木。悪いけどちょっと手伝ってくれない?」

まだ仕事を続けそうなしゅーちゃんを残して帰るべきか、待っているべきかちょっと悩んでいるとしゅーちゃんが声をかけてくれた。メールを確認すると客先から見積の依頼がきていたらしい。慌てて斜向いの席の自分のパソコンを立ち上げ、指示のあった商品の価格と在庫・納期を確認する。

「鈴木もずいぶん頼もしくなってきたな」

頼まれたデータを渡すと、しゅーちゃんがそう言った。

「え?」

「いや。異動してきたばっかりの頃はなんだか自信なさそうな感じしてたけどさ。ほら。支店にいた頃は事務もしっかり業務分担されてたろ?人数いるから。こっちは事務処理はほとんど鈴木一人じゃん?」

確かに最初は不安だったなぁ。支店で担当していた業務はまだいいとして。まだ時々戸惑うことはあるけれど、周りのサポートもあってなんとかやっていけている。

「仕事、楽しい?」

「は、はい」

質問の意図がよくわからないけれど、正直仕事は楽しい。支店にいた頃よりも確かに負担は増えたとは思うけれど、やりがいは感じている。

「そっか。ならよかった」

なんだろう。なんで突然そんなこと聞いたんだろう。コータくんが言ってた異動の話と何か関係があるのかな。でも、聞けない。いつ誰が戻ってくるかわからないし。

「よし、終わった。鈴木が手伝ってくれて助かったよ。メシでも食ってくか?」

「はい」

後片付けをして一緒に駅まで向かう。この辺だと落ち着かないから最寄駅のそばで食事しようとの提案に頷く。一緒に帰るのは3回目。電車を降りるまでは当たり障りのない会話ばかりだけれどそれでも幸せだと思う。

「そういえば久しぶりだな。チカと外食するの」

最寄駅のそばのお好み焼き屋さんに入るとようやく名前で呼んでくれた。

「だってしゅーちゃんインフルエンザだったし」

とりあえず生中で乾杯。寒かろうが暑かろうがこれがなきゃ始まらない、と言うとこのオヤジめ、と笑われる。お好み焼きを焼く担当はもちろんしゅーちゃん。手際の良さに惚れぼれしてしまう。

「あれは本当に不覚だったな。予防接種までしたのに死ぬかと思った」

「だからお見舞い行きますって言ったのに」

「アホか。チカに移したら大変だろ?職場の連中にも何言われるかわかったもんじゃないし」

「た、確かに…」

「でも水分とか運んでもらったのはすごく助かった」

「その前の週は私が看病してもらいましたしね。あの電話の調子じゃ買い物に行くのもしんどいだろうなって思ったから」

インフルエンザだという連絡を職場で受けたのは私だった。すぐにでも駆けつけたいけれど、そうもいかない自分がすごくもどかしくて。仕事定時で切り上げてスポーツドリンク類と熱を下げるおでこに貼る冷却シート、レトルトのおかゆを買い込んでしゅーちゃんのマンションのドアに買い物袋をひっかけて帰ったのだ。本当はちゃんと顔を見て、おかゆ作ってあげたかったけれど。

「移したら大変ってのもあったけどさ。あの部屋でチカに会ったら熱あろうが身体中痛かろうがチカに襲いかかっちゃいそうでさ」

「ちょ、ちょっと」

「あ、チカ顔真っ赤」

「ビ、ビールのせいです」

「ウソつけ。酒豪のチカがたったジョッキ一杯で顔に出るわけないだろうが」

確かに。こういう時お酒強いって悲しいよなぁ。女の子と飲みに行ってもすぐ真っ赤になる子ってカワイイなって思うし。下手したら合コンでも酔っぱらっちゃった男の子を介抱する役になっちゃう。そういえばここの営業所に配属されてから合コンなんてさっぱり機会がないけど。

「チカ今週末は何か予定ある?」

「今のところ特にないです」

「航太にチョコ作ってやらなくていいのか?」

「だからなんで私がコータくんにチョコ作らなきゃいけないんですか?それにしゅーちゃん私が作ったチョコじゃお腹壊しちゃうんでしょ?」

昼間のやりとりを思い出して、思わず頬が膨れる。

「あーあ、航太も可哀想なヤツだな。っていうかあの場所じゃああ言うしかないだろ?」

「確かにそうですけど…あ、しゅーちゃんはコータくんにチョコ作ってあげなくていいんですか?あのあと、修平さんの作ったチョコが食べたいって騒いでましたよ?私もしゅーちゃんの手作りチョコ食べたいです」

「オレはチョコよりチカが食べたい」

「しゅ、しゅーちゃんっ」

「あ、いいこと考えた。チョコつくってチカに塗りたくって食べるってのもアリか?」

「変態!」

真っ赤になる私を笑う。

「変態で結構。まぁチョコはともかく、週末まで待てない。チカ、ソレ、急いで食え」

お皿に取り分けてくれたお好み焼きを指差す。

「へ?」

「へ?じゃない。早く食わないと置いていくぞ?」

「置いていくってどこへ?」

「ラブホ」


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