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ある雀師の散々な一手
【コメディ その他小説】

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ある雀師の散々な一手-1

ーーーー雀荘『和歌』。
 そこは強者達が屯(タムロ)していて、麻雀界の戦国時代と言っても過言ではない。高いレートで金を賭け、敗者はどんな仕打ちも受けなくてはならない下尅上の場……。

 彼はそこでの出来事を独特の口調で、僕に語ってくれていた。

ーーー彼のここまでの話ーーー
 彼の持ち点は30,000点で少し勝っていた。
 そんな東三局。
 彼の配牌は神懸かり的なものだった。
 混一色はほぼ確実で、字牌を捨てれば清一色まで届く。さらに無理をすれば緑一色も見えてくるという稀に見るいい配牌だった。
 ーーーー四順目。
 対面が[カン]をして、山には新たに九索が顔を出す。その後、彼が六索を鳴くと、場は動く気配がなくなった。
 彼の手は着実にテンパイへ進んでいき、九順目。
 彼は二索をツモる。その時の手牌はこうらしい。

ツモ牌[2]。数字は索子
123344888発
    鳴きーーー666

 ここで[発]を切れば[1][4]待ちの清一色テンパイ。[1]を切れば[発]待ちの緑一色テンパイ。
 彼はどちらを捨てるか迷っていた。

 そんな時、彼は聞いたのだという。
 強者にだけ聞こえると、雀師達の中で密かに噂される“神の声”を……。

(そしてまた彼の長歌が始まったーーーー)




『一索だ』
  神が俺に
    ささやいた
信じた俺は
  そのまま打牌


僕「緑一色を狙いにいったんですね。それでどうなったんですか?」


下家がよ
『ちょっと待って』と
      言うからさ
上家が下家に
  こう言ったのさ



ーーーー上家−
『鳴くのなら
  鳴くまでまとう
       一索牌』



僕「それで下家は一索を鳴いたんですか?」
 彼は首をふった。


『あ、そうか…』
  下家はポツリと
       呟くと
自分の牌を
  倒して見せる


僕「うわっ!〔ロン〕だったですか。ついてないっすねぇ」


緑一色
  テンパイ直後
     夢と散る



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