第四章 もてあそぶ-2
翌朝、目が覚めると睦子が朝食を作って俟っていた、昨日のお礼だと、睦子は何事もなかったかのように明るく笑っていた。朝食を取りながら話をしていた。予定が無ければ、もう一度、ホテルのプールに行きたいと睦子が言い出した。
プールでの睦子は昨日と変らなかった。一人ではいやだと、俺の手を引いて水に入ると、子供のようにはしゃぎながら泳ぎ回り、二人で競争をし、追いかけっこをはじめた。追いかける俺は、昨日より水に慣れていた。
睦子は、昨日以上にはしゃぎながら全力で逃げていたが、俺はすぐに睦子を追い詰め捕まえた。睦子の柔らかい体を抱き締める。睦子は昨日と違って、俺の腕の中で、少し甘えるような仕草を見せた。そして、悪戯っ子のような表情を浮べると言ったのだ。
「もう一度、捕まえられる? 本当の私を捕まえられるかしら?」
睦子が、するりと俺の腕から逃れていく。俺は逃げる睦子を追い詰めては抱き締めた。
睦子の反応は抱き締める度に違っていた。目も覚めるような笑顔を見せたかと思うと、時にはとても淋しそうで、そして、少女のように震えていることさえあった。たまらなかった。今にも精を吹き上げそうなほどの快感に包まれていた。俺は、睦子を何度も何度も追い詰めては抱き締め、睦子の揺れる女心を心行くまで楽しんだ。
帰りの車の中、昨日と同じように、睦子は窓の外を見つめていた。そして、昨日、車を止めた場所の手前で、静かに話し始めた。
「賢治さん。昨日は本当にありがとう。あなたが、思い留まってくれたお陰で、今日も生きていられる。」
睦子は、俺と話し合えると思っているようだ。しかし、俺にそれを受け入れる気はなかった。ただ、睦子をさらにもてあそぶ余興として、睦子との会話を楽しもうと思っていた。
「あのまま思いを遂げていれば、今日を生きていなかった?」
「分からない。でも、死にたいと思うわ。」
「でも、僕に抱かれて死にたいという気持ちもあるんじゃないか?」
「・・・・・・」
俺は車を止め、昨日と同じように睦子を抱き寄せた。睦子が切なそうな表情で俺に語り掛ける。
「今日も思い留まれる? お願い。思い留まると約束して・・・・」
睦子の唇を奪い、激しく舌を絡めていく。睦子の右手を俺の股間に導き、露出した男根を握らせる。
「だ、だめよ。お願い。お願いだから・・・・」
睦子に男根を握らせたまま、激しく唇を貪ってやる。睦子が呼吸を乱し、激しく喘ぐ。
俺は睦子の体に十分に火がついたところで言葉遊びを始めた。
「止まれないよ・・・・」
「だ、だめよ!」
「俺が嫌いか?」
「違う、違うの・・・あなたが好きだから・・・・
だからこそ、舞と幸せに・・・・ん、んんん!」
睦子の唇を塞いでやる。睦子に、ゆるゆると男根をしごかせる。
「だめよ。お願い。二人を愛しているの、だから・・・」
俺は、睦子の手を男根の先端へと導き、あふれ出した先走り液でべっとりと濡れた亀頭を握らせた。男根に力を込め、びくびくと震わせてやる。睦子がそれに反応するように喘ぎ、俺の亀頭を握り締める。俺は、睦子を見つめて嘯いた。
「睦子が魅力的だから・・・こんなに睦子を求めてる・・・」
睦子の大きな瞳が歪み、涙が零れ落ちる。俺を止められないと悟るこのタイミングを俺は待っていた。
睦子は、くだらない倫理観から俺を思い留まらせ、俺を舞の元に帰そうと考えている。
しかし、その裏側で、俺を求めて狂おしいほどに体を火照らせているはずだ。俺は、睦子の心の裏側にあるその事を、睦子に口にさせ、睦子がいやらしい女であることを睦子自身に思い知らせてやろうと考えていた。