第三章 エスコート-2
夜、二人でメインダイニングを訪れていた。長い髪を下ろし、ドレスに身を包んだ睦子は、恐ろしいほどに妖艶で魅力的だった。
「今日は、とても楽しかった。男性と二人で過ごすなんて、何年ぶりかしら。」
「睦子さんなら、言い寄る男は少なくないでしょう?」
「そうでも無いのよ。それに舞一人置いて、出かけるなんて考えられなかった。
だから、本当に久しぶりなの。」
「お相手に不足はなかったですか?」
「不足なんて・・・こんなに素敵な男性にエスコートされて幸せだわ。舞が好きになるのがよく分かる。舞の相手があなたで本当に良かったわ。」
「こちらこそ、睦子さんのような美女をご案内できて本当に良かった。正直に言うと、
プールでのあなたの姿にはドキドキさせられましたよ、」
「まあ、本当かしら?」
睦子は昼間と違い、舞を話題にしなかった。代わりに睦子のこれまでの人生を話題にした。18歳で見初められ、19歳で舞を生み、その後、すぐに夫を失ったこと。男性は夫一人で、他の男性を好きになることなど考えられないと思っていたこと、そして、今の俺と舞を見ていて、本当に羨ましいと思っていると話した。そして、淋しそうに瞳を伏せると、睦子は静かに呟いた。
「私も、いい人・・・探そうかしら・・・・・」
帰りの車の中で、睦子はずっと窓の外を眺めていた。静かに時間が流れていく、ふいに睦子が嗚咽を漏らし、涙が零れ落ちる。意外だった、ここまで睦子が心を揺らすとは思っていなかった。
車を止め、睦子を抱き寄せる。
「だめ・・・」
抵抗する睦子の腕に力は無かった。唇を重ね、強く抱き締める。睦子の体から力が抜けていく。睦子の唇を割り、舌を差し入れる。逃げる睦子の舌を絡めとるようにして捕まえる。
睦子の呼吸が乱れる。激しく舌を吸い上げる。睦子の舌が俺の求めに応じる。睦子が、喘ぐようにして肩を震わせる。睦子の反応は、まるで二人の体が一つに繋がっているかのように激しく、官能的だった。俺は、激情のままに睦子の唇を貪り続けた。
長い間、睦子を抱き締めていた。気が付けば、時計の針は24時を回っていた。
再び車を走らせる。行き着く先は、二人だけの空間だった。
続く