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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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序章-5

「なんだ〜つまんねぇなぁ〜…あ!でもキスしてたじゃん?!」

「そりゃぁ、せっかく勝ったんだしご褒美ぐらいは……なあ?」

 アースは悪戯っぽく笑ってウインクする。

「ぷっ……あははは!!あんた面白いや!!なぁ、奢るからお茶でも飲んでかねえ?」

 アースは男の誘いをうけ、魚屋の前の椅子に座った。
 男はケイと名乗り、この魚屋の息子だと話した。
 アースがゼビアから来たと聞くとケイは目をキラキラさせて魔法を見せてくれとせがむ。

「魔法は見世物じゃねぇよ」

 と、言いつつコップに入っている液体を操って動物の形に変形させた。
 ウサギや鹿の形になった液体は、休憩中の客の目の前を横切ったりして驚かす。
 退屈している子供達の所に行かせ、踊って見せると歓声をあげて一緒に踊った。
 水路の水も利用して大きめの馬や鳥なども作り、観光客の目を楽しませていると、ふいに地元民が動きを止める。

「困りますよ。アース導師。馬車が通れないではないですか」

 穏やかな声に目を向けると、簡素な青いドレスに身を包んだキャラとグロウが立っていた。

「キアルリア姫!!」

 驚いたケイは椅子から立ち上がり、直立する。

「あー!!にゃんこ!!おっきいにゃんこだぁ!!」

 動きを止めた動物達を不審に思った子供達がグロウを見つけて駆け寄ってきた。
 アースとキャラは吹き出しそうになるのを何とか抑える。

「まぁっそれは姫様の魔獣よ。失礼でしょ?!」

 慌てた親達が子供達を止めようと寄ってきたが、キャラがにこやかにそれを制した。

「構いませんよ。グロウも喜んでますし」

 キャラの言葉にグロウは渋々と子供達の元へ行き、猫らしく喉をぐるぐる鳴らして体を擦り付けたり、尻尾を振ったりして見せる。

「あっあの、姫、こちらへどうぞ」

 緊張したケイがキャラに椅子を勧めた。

「ありがとうございます」

 極上の笑顔でお礼を言ったキャラは椅子に腰かける。

「お茶持ってきますねっ」

 バタバタと店に入るケイを見ながらアースはニヤニヤ笑う。

「お前本当に姫様なんだなぁ〜」

「当たり前だ。今までなんだと思ってたんだ」

 にこやかな表情を崩さず子供達に目を向けたままいつもの口調で話すキャラにアースは舌を巻く。

 ドタバタとお茶を持って戻ってきたケイはキャラの前にグラスを置く。


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