投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

ゼビア・ズ・ストーリーの最初へ ゼビア・ズ・ストーリー 203 ゼビア・ズ・ストーリー 205 ゼビア・ズ・ストーリーの最後へ

序章-12

「ダンスは苦手、という事は他のものは得意ですの?」

「そうですねぇ……騎士団なので武術類は出来ますし、魔導師でもあるので知識もそれなりに……」

「そういう事ではなくて……」

 イズミはアースに体を押し付けて、胸の谷間を強調した。

「ああ、そっちですか……」

 どうやら誘っているらしい……しかし、相手はお姫様。
 下手に手を出しても、無下に断ってもいちゃもんをつけられそうだ。
 さて、どうやって穏便にこの場をきりぬけようか……アースは胸の谷間を見ながら頭を巡らせた。

 ラインハルトと1曲踊り終えたキャラは椅子に座って休憩。
 視線は広間でサイラ国のイズミ姫と踊るアースを追っていた。

(ふーん……イズミ姫はアース狙いか……物好き……)

 いくらゼビアのナンバー2とはいえ、かなり際どい中途半端な地位に普通の姫が目をつけるはずがない。
 どうやら見た目が気に入ったようだ。
 まあ、一番の物好きは自分か……とキャラは苦笑する。

「キアルリア姫、お飲み物はいかがですか?」

 そこへ明るい口調でグラスを持った男が話しかけてきた。

「ありがとうございます、デレク王子」

 南の大陸、カイザス国の第3王子、デレクシス、通称デレク。
 明るい茶色に所々赤いメッシュが入った髪、水色の目……一言で言って『軽薄』それが、この王子の印象だ。
 が、この軽薄王子は何故だかキャラの事がお気に入りらしく、何度断ってもまとわりついてくる。
 キャラの方が少し年下という事もあって話易いのだろうが……迷惑だ。

「アース殿が気になりますか?」

 キャラの視線の先を確認したデレクシスは、グラスをキャラに渡して聞いた。
 キャラはグラスを受け取って答える。

「アース導師はゼビアに留学していた時お世話になったので……」

 グラスを傾け、中身を飲もうとしたキャラはぴたりと動きを止めた。

「……デレク王子……」

「やっぱりバレましたか?さすがキアルリア姫」

 飲み物にはなにやら薬が入れられている。
 いくらなんでも悪戯が過ぎる、とキャラの目がスゥっと細められた。

「それそれ!その目がゾクゾクするんだよねぇ♪」

 悶えるデレクシスに呆れたキャラは、グラスを突っ返してテラスに移動する。

「あっ、待って下さいよぉ」

 デレクシスは慌ててキャラを追いかけた。
 テラスからは庭が一望できて、ゼビアの騎士団やらその他の国の護衛達が腕比べをしている。

「あ〜!キャ……キアルリア姫〜一緒にやらない〜?」

 テラスに姿を見せたキャラに気づいたエンが手を振って誘った。


ゼビア・ズ・ストーリーの最初へ ゼビア・ズ・ストーリー 203 ゼビア・ズ・ストーリー 205 ゼビア・ズ・ストーリーの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前