幸運の神だと言うが”勘違いの可能性”ある-3
飯が美味いっ 酒が美味いっ
ガバガバ入ってきやがる,とにかくたまらんかった,下品な笑い声と酒臭いおっさんの匂いのいる店内だったが,俺には最高の幸せだった
あっ支払いどうすんの
怖気と寒気が一気に背中を駆け抜けていく,無警戒にもほどがあった
とにかくやばいっ…メニュー見て無いけど,勝手に届いたもん食っちまった
請求されるとかどうとか考えてなかった
「美味いか?」
見上げると「たらこ唇」がまた無愛想に言うもんだ,なんなんだよっ ちっとは笑いやがれ
客商売だろ
「そりゃぁっ もう,いやぁ最高!」
冷や汗が止まらん…作り笑いにしたって,出来る限りの最高級のを
作って笑って許して状態の
「そうか」
おっ,おいっ そりゃなんだ
勝手に背中向けていくんじゃねぇよ
凄い怖いんですけど,っと思っていたら,また振り返ってこっち向いてくるもんだ
思わず身構えて
「なっ,なんだよっ」
「泊まっていけ」
「はぁ?」
「泊まっていけ」
わけがわからない
が
さっきまで
飯食う場所も決めてない,泊まる宿も決めてない
の状態が
今
飯食った、泊まる場所出来た
になった
確認するぞ,こういう状態なんだ,ここまでいい流れなんだ
「で,どんくらい払えってのよ」
「いらん」
「はぁ?」
「いらん」
確信した
俺は「幸運の神」なんだろうと確信した
自身を「神」と信じていた
俺にはすげぇ出来事だった,今日という日を忘れないと思う…多分