終局-1
「由美、あなた、いったい?」
「国から、依頼を受けたアンデットハンターです」
「アンデットハンター?」
「こういう化け物どもを狩るのが仕事です」
「そうなの……助けに来るのが遅すぎるじゃないの! いったい、どういうつもり?」
いきなりすごい剣幕で怒り出す。
「私としては別に貴方たちを助ける義理ないですがあんな仕打ちを受けたわけだし。」
「由美! 貴方は国民を救うのが義務じゃなくて?」
いまにも掴みかかりそうな口調だ。
「私は公務員じゃないです。」
「同じことでしょ。国から依頼を受けたなら」
「ぶっちゃけ、賞金稼ぎですから大体ここは国外なので国は、介入できませんし国への報告は私の報告がすべてなんで他に生存者なしってことででも特に問題なしです」
「脅迫するつもり」
麗子は憮然とする。
「ご不満なら、このまま残ってもらっても結構です」
「わかったわよ。こんなとこにいたくないわ。ここから助け出しなさい」
「ほえ? 助け出しなさい?」
「……くっ。た、助けてください。これで、満足?」
「まぁ〜冗談は、このくらいで」
「……」麗子の眉間にしわがよる。
「さてと、とっと、避難してもらいましょう」
「避難って?」へたり込んでいた瞳が、ようやく立ち上がってきた。
「えっと、ゾンビの正確な数が、わからないんで人間を避難させて、殲滅戦を開始する予定です」
「殲滅って?」
「めんどくさいから、島ごと焼き払っちゃおうかな〜って思って」
「なんですって!」
由美は、鼓膜が破れんばかりの麗子の大声に両方の指で耳をふさぐ。
「この島は、綺堂家の所有物です。それにここは、さっき、貴方が言ったように日本の領土じゃありませんのよ」
「C国の了解は得てますし、綺堂家当主も了承済みです」
「お父様が了承してる?」
「本当に焼き払っちゃうの?」瞳が不安にそうきく。
「術者が、わかれば、そこまでしなくて済むんだけど」
「術者って何?」
「えーと、ゾンビってのは魔術の力で作られる物なの」
「えっ? ゾンビって伝染病とかじゃ、なかったの?」
「あ〜、それって最近のホラー映画の中のゾンビの話でで、実際のゾンビは、魔術の力で作られるものなんです。本来、ゾンビは、労働力として作られるもので人間を襲って襲ったりとか、被害者もゾンビ化するってのも術者が設定しないとそうはならないんですよ」
「要するに術者がわかれば島ごと焼き払うまではないってことよね?」
「はい、術者が停止させれば、ただの死体になりますのでそんな必要はなくなります」
「でも術者が誰かはわからないと……使えないわね」
麗子が、皮肉っぽく言う。
「私は、ハンターであって調査員ではないし日本国領土じゃないので国の調査員は派遣できませんからね」
由美は、麗子に切り返す。
「あの…お話はその辺で早く避難しませんか」
二人の話が言い合いに発展しそうなので智子が提案した。
「待ってお兄様が自分の部屋に行ったままです。お兄様も助けに行ってもらえます? 由美さん」瞳が、由美にすがりついてきた。
「はい。部屋は、どこですか?」
「このフロアの一番奥です」
「まず貴女方に避難してもらってそれから向かいます」
「だめーっ!すぐに助けに行って」
「しかし、貴女方を放置して行くわけにも」
「全員で移動するというのは、どうでしょ?」
昭子が提案する。
「わかりました」