惨劇-3
「それは、そうと14人分の、この死体は、どうする?」武田が部屋中に転がってる死体を見回した。 「森に埋めてくればいいだけのことです」
まるで、ごみでも廃棄するような口調で麗子が答える。
「おいおい、誰が、やるんだ。14人分ともなれば、結構な、力仕事じゃねーか」
「お願いできますか? 武田様」
「おーい、たった今、一仕事したじゃねーか? しかも、これだけの数を一人でやれというのか」
「使用人たちにも手伝わせますわ」
麗子は、室内用のPHSで使用人に連絡しようとする。
「変ね、誰も出ないわ」
「……まさか、ゾンビに」
「えっ?」
「そんなことが」瞳も、麗子も動揺が隠しえない。
「武田様、バリケードを作ってドアを封鎖するのをお手伝い願えますか?」
「バリケード? あんな連中……」
「使用人は、私たち3人を除いて全員で42人います。それが、一度に襲ってきてもですか?」
「……わかったよ」武田は、部屋にあったソファーを一人で、軽々と持ち上げ部屋のドアの近くまで移動して来てドアが、開きっぱなしになってるのに気がつき一度、ソファーをおろしドアを閉めるべく入り口に近づくと突然、腐った男に襲われた。 ふいを付かれ、いきなり噛みつかれていた。武田は、振りほどこう右手を振るとゾンビは、2メートルぐらい吹き飛ばされたが、何事もなかったように立ち上がってきた。
「うぐ……」武田は、そこにそのまま崩れ落ちた。立ち上がってきたゾンビを見て全員、そのおぞましさに恐怖した。
そのゾンビは、顔が腐って右目がこぼれ落ちかけて、左のほほの皮膚は、完全に腐り落ちて外側から、左側の歯と、歯茎が見えてる。
「なんて、おぞましいの」
麗子が、思わず口にしていた。
「えーいっ!」昭子が、モップを横になぎ払いそのゾンビ頭を吹き飛ばした。腐りきった、そのゾンビの頭は、非力な女のモップの一振りで意外にも脆くもちぎれ落ちた。
残されたのは、女だけになった。
「臭いわね。その汚物、どうにかしなさい」麗子が、命じた。
「はい」昭子は、もげ落ちた、頭を髪の毛を掴んで持ち上げた。
「智子、祥子、体のほうを」
「えええええええええ……?」
「祥子……手伝いなさい」
智子は、戸惑う祥子を促す。
二人は、朽ち果ててる首なしの体の両脇を抱えて、引き摺りながら運び始めた。昭子は、窓を開けると腐った頭を外に放り投げた。続いて智子と祥子も、首なしの体を窓から、突き落とした。
「でえーーーーーーーーーーーーーーーっ????」
「でえーーーーーーーーーーーーーーーっ????」声は、部屋の中と別荘の前の地上で発せられていた。部屋の中の声の主の今日子は、ゾンビとはいえ。仏さんにその扱いは、いいの? と、思わずには、いられない。
地上の声の主は、突然、頭上から、降ってきた、腐った頭と体に驚いた由美だった。
「ゾンビ……だよね?」思わず、手にした銃の銃口でつんつんとつつく。
「こんなことのできる人が、いるなんて予想外もいいとこだわ」
由美は、別荘の最上階の辺りを見上げる。