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悪魔とオタクと冷静男
【コメディ その他小説】

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部活と冷静男と逃亡男-11

「どっ、どうしたのさ美奈!? 悪いものでも食べたのっ? それとも、あれですか? やっと体をもてあそぶのに飽きてくれたとかですか!?」
 と、微妙に不穏な台詞を吐く拓巳。
「そうだぞ美奈! いつもなら喜んで参加するではないか! もしや病気かっ? よ、よし今すぐ保健室のベッドへ。暖めてやろう、人肌で!」
 と、変質者一歩手前の由紀。
「……二人とも、それはちょっと失礼なんじゃないかな……?」
 至極まともな凛のつぶやきは、物の見事に全員から無視された。――ちょっとだけ落ち込んだ。
 そんな凛には目もくれず、美奈はいつに無く静かに答えた。
「……別に私の勝手でしょ?」
「うっ……確かに」
「そ、それはそうなのだが……」
 予想外のまともな反応に、やはりどう考えても失礼なほどにうろたえる二人。
「とにかく、早く部室探しに行こ?」
「あ、ああ。そうしようか」
 美奈はいまだにショックから立ち直れていない様子の由紀からこちらに視線を移し、
「二人とも、これからちょうどいい部室探しに行くよ」
「……え? な、何? どうゆうこと?」
 拓巳が疑問の声を上げる。凛もいきなりの事で説明が欲しかったため、美奈の返事を待つ。
「……」
 しかし、美奈は答えない。色々と考え事をしているようにも見えるし、説明するのを面倒に思っているようにも見える。
「……面倒だから簡単に言うとね」
「簡単に言うと?」

「部室探し」

 さらりと真顔でのたまった。
「……」
 拓巳も凛も二の句が継げない。
「部室探し」
「……いや、分かったから二度も言わなくていいよ……」
 いくら面倒臭いとは言え、簡単に言いすぎだと思う。それに、そんなことはさっきの会話で十分に分かる。
「あの、穂沢さん、何で部室探しをするんですか?」
「部室が無いから」
「……」
 当然のように答えられてしまった。
 ……いや、まぁ確かにそれはそうなんだろうけれど。
「分かった? 分かったんなら早く探しに行こうよ」
「いや、なんで部室なんか……」
「いいから、早く探しにいこうよ」
「……。はいはい、分かったよ。行こっか、凛ちゃん」
「う、うん」
 こういう事態に慣れている拓巳は、凛よりもいくらか切り替えが早かった。そんな拓巳に促され、もはや何を聞いても無駄だと、すっきりしないながらも返事をする。
 どうにも、また逃げたくなるような変な事態に巻き込まれたらしいことを悟り、二人は教室を出ると同時にため息を吐いた。


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