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「超合体浪花ロボ・ツウテンカイザー」
【コメディ その他小説】

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「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーV〜新世界征服ロボの挑戦〜」-3

『聞こえているぞっ!巨乳博愛変態博士っ!!』
 鋭い女性の声が指令室内に響き渡ると、それと同時に派手な音楽が流れ始めた。
「むぅ、チャイコか…。やはり謎のロボットはユーナの造った物だったのかっ!?」
 十文字博士の言葉と共に、司令室のディスプレイ全体にショートカットの女性の顔が大写しになった。
『久しぶりだな、十文字博士。異常性格だの、変態だのと言う言葉は聞き捨てならないが、私が改心するわけがないと言うのはまったくその通りだ……。数年前は下賤な低級ロボットに不覚をとったが今回はそうはいかん…』
 氷の瞳を持ったユーナ・オストアンデルは芝居掛かった調子でそう告げるが、緊迫感のない十文字親子はユーナなどアウトオブ眼中でひそひそと話をしていた。
「…登場シーンにチャイコフスキーを使うんは、ちょっとどうかと思うんやけど?1812年よりはワーグナーのワルキューレの騎行の方がこういう場合定番やない??」
 ひよこの言葉に、十文字博士が大きく頷く。
『……やはりコアラは戦闘には向かないと考えた私は、世界征服ロボを新たに造り直し…名を新…って、おい』
「うむうむ、まったく同感やな…。そやけどユーナは偏屈やさかい、そんな事には関係ないんとちゃうんやろか…。それに、あのロボオタ娘がワーグナーで登場したら、ワルキューレの騎行やのうて悪ユーナの奇行になってまうで」
『……グランパスの力は』
「あはは、お父ちゃん、上手い事言うなぁ。座布団一枚や……」
 次の瞬間、ユーナのこめかみでぶちりと音がした。
『人の話を聞かんかぁあっ!この莫迦親子っ!!!』 
 ユーナの怒鳴り声が響き、思わず驚いた顔を向ける莫迦親子。
「なんや、お姉ちゃん、急に大きい声出して…、びっくりするがな」
『ええい、お前等が人の話を全然聞かないからだっ!!』
 ひよこの言葉をユーナは乱暴に遮った。
『いいか、莫迦親子。前回はそこの巨乳偏愛主義者の変態親父にしてやられたが、今回はそうはいかんぞっ!この新世界征服ロボ、グランパスドラゴンが貴様等の低級ロボットを完膚無きまでに破壊し尽くしてやるっ!』
 激高したユーナは相手に喋る暇を与えまいと一方的に挑戦状を叩きつけた。十文字博士の方はその言葉に返り討ちにしてやるとばかりに不敵な笑みを浮かべているが、今まで呑気に構えていたひよこの方は何故か驚いた表情を見せた。
「な、な、なんやてっ!!新世界征服ロボッ!?」
「む、何だひよこ。あのロボットに何か心当たりでもあるのか?」
「し、新世界征服ロボ…なんちゅう恐ろしい……」
 怪訝な顔を向ける王鷹。しかし、王鷹の言葉はひよこの耳には届いていなかった。脂汗を滲ませ、恐怖におののくひよこ。
「新世界を征服しようなんて、なんちゅう恐ろしいことを考えるんやっ!?この人でなしの冷血ファシスト女ぁっ!!」
『ふふふ、今頃になってようやくこのグランパスドラゴンの秘められた力に気が付いたと言う訳か……』
 さにあらず。
「あああ、新世界を征服するやなんてっ!!薄給で扱き使われてる大阪のサラリーマンのお父ちゃん達は、ジャンジャン横町で串カツ食べて、安酒飲むのだけが楽しみなんやっ!!その新世界を征服して幸薄い大阪のお父ちゃん達の楽しみを奪うやなんてっ!なんちゅう恐ろしいことを考えるんやっ!!」
 あまりに寒い呆けにユーナはおろか、司令室にいた全員が声を失い、凍り付いてしまった。
「…ひよこ、ひよこ、多分その新世界じゃないよ」
 躊躇いがちにひよこの肘を引く恭子。しかし、ユーナの頭からは目に見えて気炎が吹き上がり、続いて怒髪天を突く様でユーナの怒号が響き渡った。
『ええい、この脳足りんの大莫迦娘めっ!!新世界征服ロボとは新しく造られた世界を征服するロボットの事だっ!!』
「あいやぁ…」
 照れた表情で頭を掻くひよこ。しかし、その惚けた様子がユーナの怒りの炎にますます油を注いだ。


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