異界幻想ゼヴ・クルルファータ-4
「ん……!」
唾液を送り込んで飲ませながら舌の届く範囲を探索すれば、鼻から声を漏らしつつ必死に応えてくれた。
「んっ……!んっ……!」
可愛らしい声とともに、指先が背中に這っては爪を立てる。
飲み切れなくてこぼれた唾液を舌で掬って再び口に含ませれば、喉が動いて一生懸命嚥下した。
「目……開けろ」
ジュリアスの要請に、深花は閉じていたまぶたをうっすらと開ける。
欲情でとろりと潤んだ瞳を覗き込めば、あまりの色っぽさに股間の肉棒がいっそう硬度を増した。
「閉じるなよ」
警告してから、再び唇を重ねる。
至近距離で目を合わせながら口内を探られるという何とも羞恥心を煽られる行為に、深花は戸惑ってジュリアスの胸を叩いた。
「んぅ!う!」
急所に入るわけでもない打撃では痒いくらいにしか感じないジュリアスは、律儀に目を開けている深花の瞳を見つめながら口内を舌で犯し続ける。
目を閉じているか開けているかの違いしかないのに舌の動きがよりはっきりと感じられて、深花は全身がむずむずした。
見つめ返してくる深い紅の瞳の美しさに、彼女は驚く。
こんな男に恋してしまった自分が恨めしい。
想いが通じる事など、ありはしないのに。
「!?」
強い情欲以外の感情が深花の瞳の中に渦を巻き、ジュリアスは驚いてキスを中断した。
喘がされ、欲情が切羽詰まった切ない表情をする事はある。
けれどいつもなら、こんな物悲しい顔はしない。
「深花……?」
「ん……何でもない」
いかにも何かありそうな声で言われても、説得力はない。
「それより……もっとして?」
どうせ叶わぬ想いなら、こうして欲情を埋め合わせてもらうこの時間を体に刻み付けよう。
そう決心して、深花は愛撫をねだった。
「深花……」
その心の内を自分に晒してくれない事が、もどかしい。
どうして自分を信じてくれないのかと、体を掴んで揺すぶってやりたい。
「っ……!」
聞いても答えてくれない事は分かるくらい、付き合いは深い。
今は問う代わりに深花を抱き、そんな感情が湧く暇などないくらいに甘くよがり狂わせてやる事しかできない。
噛み付くようにキスすると、ジュリアスは自制を外した。
当人が、それを望んでいるのだ。
加減などしてやらないのが、せめてもの復讐だ。
「ん……!」
首に顔を埋めると、微かな声が深花の唇から漏れた。
「あ……!?」
いつもならそのまま南下して乳房を狙ってくるはずの顔が不意に離れたかと思うと、片手が下半身を裸に剥いた。
そのまま、閉じられた花弁を指先が割る。
「あ……」
さらりと粘度のない愛液を指に絡ませ、淫核を摘む。
「っく!」
びく、と深花の背がのけ反った。
快感よりも痛みが勝る、乱暴な触り方だ。
「ジュリア……ス……?」
戸惑う深花の唇に、ジュリアスは噛み付いた。
深花の喉奥で、悲鳴が破裂する。
噛まれて破けた薄い皮膚から、だらりと真紅がこぼれた。
「……あ……」
後悔の滲む声音で、ジュリアスは呻く。
傷つけたい。
守りたい。
犯したい。
優しくしたい。
壊したい。
全て、委ねて欲しい。
矛盾する感情が溢れて、止まらなかった。