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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・クルルファータ-3

 ザッフェレルの執務室を出るとティトーは準備のため、足早に二人の前から去っていった。
「……部屋まで送ってく。眠れないかも知れないが、横になって体を休めとけ」
 ジュリアスの言葉に、深花は無言で頷いた。
「……あ……!」
 喉の奥で呟いた深花が、眉間に皺を寄せながら壁にもたれ掛かった。
「う……く……!」
 壁に爪を立て、何度か深呼吸して衝動を押し殺す。
「……まだ、してなかったもんな」
 それに思い至ったジュリアスは深花の体を引き寄せ、髪に唇を触れさせる。
「あ……こ、こんな事してる場合じゃ……」
 僅かに体をくねらせる深花の耳に、ジュリアスは息を吹き掛けた。
「っふ……!」
 びくんと反応する深花の耳元で、ジュリアスは囁く。
「……気を紛らわせる物が必要なんだ。付き合ってくれよ」
 こんな事をしている場合じゃないと躊躇う深花に言い訳を与えると、その体を抱きすくめる。
「ジュリアス……」
 ジュリアスとフラウの間に結ばれた絆を思うと、深花の胸はつきりと痛んだ。
 過去に何があったか詳しい事は知らないが、普通の男女にはない濃い繋がりがある二人。
 今、彼はその繋がりを失いつつある。
 自分ならそれを慰められると知り、深花はそっと身を委ねたのだった。


 髪を掻き分け、うなじに唇が落ちる。
 うなじから肩へ滑った唇で優しいキスを繰り返しながら、手の平は前面の膨らみに狙いをつけた。
 程よい大きさの乳房を手の平に収め、先端のしこりを指でつまめば背中から抱いた女はぴくりと震えて反応した。
 部屋に入った途端に恥ずかしがってそっぽを向かれてしまい、ベッドに腰掛けて上半身を裸に剥いたこの状態でもゆっくりとキスを味わうどころか、まだ顔も拝んでいない。
 たぶん洒落にならないフラウの状況を考えると、のんびり男に抱かれている自分がしっくりこないのだろう。
 けれど体の疼きはどんどん我慢できなくなってきているのも事実で、もどかしそうに膝を擦り合わせる仕草が散見される。
「……っ!」
 外耳をかぷりと噛んでやると、深花は微かに声を漏らした。
 そのまま舌先で、耳の縁をなぞっていく。
「……っあ、んんっ」
 耳の穴に舌先が突っ込まれると堪え切れずに反応してしまい、深花は大きく背を反らせるとジュリアスの腕の中へ倒れ込んだ。
 華奢な肢体を楽々と抱き留め、ジュリアスは反対側の耳に唇を寄せる。
「あぅ……あ、やだ……」
 耳にキスした唇は、うなじにかぶりついた。
 滑らかな肌も甘い体臭も唇からこぼれ始めたなまめかしい声も、全てを堪能する。
「んん……」
 体に当たり始めた股間の剛直を感じ、深花は腰をくねらせる。
「なんだ、もう欲しいか?」
 頬を舐め上げてやれば、深花は喉の奥で声を漏らした。
 男を受け入れるには、まだ体の準備が整わない。
 それを分かっていながら、ジュリアスは問う。
 やわやわと膨らみを揉みしだきつつ、耳を犯す。
 湧き上がる快感に甘い声で応えながら、深花はジュリアスの手に自分の手を添えた。
 あっちにいた頃と比べると剣ダコができたり爪が割れたりとずいぶん様変わりした手だが、この男と比べるとまだまだ綺麗だ。
「ん?」
 不審に思ったジュリアスが動きを止めると、深花は頭を動かして舌を出したままの唇に自分のそれを重ね合わせた。
 筋肉だらけで硬い肉体だが、唇は例外で柔らかい。
 ついばむようなキスを繰り返せば我慢できなくなったのか、ジュリアスは深花を押し倒して組み敷いた。
「やん……!」
 背中で感じる冷たいシーツに、深花は声を上げる。
「すぐにあったかくなる」
 鳥肌が立ったのを見てそう言うと、ジュリアスは深花と唇を重ねた。
 触れ合わせるだけのキスをしてから、赤い花びらを舌で舐める。
 顎や喉にキスして焦らすと、深花は物欲しそうに唇を開いた。
 その隙間から舌をねじ込み、吸い上げる。


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