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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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別離の間〜Side:F〜-2

『とりあえず中に入ろう。寒い』

 人間の姿に変わったオーウェンがキャラの荷物を持ってさっさと城内に入る。
 季節は秋から冬に入る頃……空を飛び続けたオーウェンとキャラの体は冷えきっていた。
 ラインハルトの自室に行って、暖かいお茶を飲み、落ち着いた一行は今までの報告をし合う。
 キャラが城を出た利用をちゃんと知っているのは、ここにいるメンバー以外では巫女のミヤだけ。
 城で働いている人間には「窮屈な城暮らしが嫌で家出」という事になっており、国民には「魔法を学ぶための留学」になっているらしい。

「出て行った時に捜索してしまったからね、城の人間にはごまかせなかったんだよ」

 どうせならどちらも留学という事にしておきたかったのだが……と話すラインハルトにキャラは肩をすくめて答えた。

「構いませんよ。窮屈なのも事実ですし」

 ちゃんと魔法の事も勉強して来たので嘘ではない。
 ファンでは魔力持ちが産まれる事がめったに無い。
 キャラが知ってる魔力持ちはミヤだけだし、王族ではキャラが初めてなのだ。

「魔法は使えるようになったかい?」

 ギルフォードの問いかけにキャラは困った顔をする。

「ええ……まあ……」


 どうしてもついていく、と聞かなかったグロウを喚び出せるが……喚び出したらどうなるか安易に想像がつくだけに喚び出したくない……絶対、ラインハルトに襲いかかるし、下手したらギルフォードにも噛みつくぐらいしそうだ……。
 キャラの考えている事がわかったオーウェンはため息をついた。

『ギルフォードは儂が庇う。ラインハルトはキアルリアが守りなさい』

「「?」」

 オーウェンの仰々しい物言いに双子は頭に疑問符を浮かべる。

「……私は召喚師と言いまして、異世界の魔獣を喚び出せる力があるみたいです。今、契約している魔獣は1体で……私の事情を全て知っていますので、もしかしたら兄上達に襲いかかるかも……」

 物凄く申し訳ないように話すキャラにラインハルトは首を傾げた。

「私に対して襲いかかるのはわかるが……何故ギルに?」

 ラインハルトの疑問を聞いたキャラはギルフォードに顔を向けた。
 目が合った瞬間、ギルフォードは不器用に目をそらす……どうやらラインハルトには内緒にしていたらしい。

「ギルフォード兄様ともヤりましたからね」

「なにぃ!?」

 あっさりと告白したキャラにギルフォードは嫌な顔をして、そのギルフォードにラインハルトは詰め寄った。


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