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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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別離の間〜Side:F〜-1

 魔法大国ゼビアから東へ……馬で1ヶ月、船に乗り替えて丸1日。
 そんな所に島国ファンはあった。
 領土は小さいが、どの国からも程好い位置にあるため交易の拠点となり、昔から栄えてきた国だ。
 その島国ファンが、ここしばらくいつも以上の賑わいを見せている。
 現国王、ラインハルトの双子の弟であるギルフォードの結婚式が近々、行われるのだ。

 8年前、国王が急逝した後、双子の王子は協力して必死に国のために働いてきた。

 行動的で明るい性格のラインハルトを、思慮深いギルフォードが支えてきたのだが、半年前にラインハルトが同性愛者だとカミングアウトした時は国民が騒然とした。
 しかし、元々そういう事に寛大な国なのですぐに受け入れたのだったが……後継者問題があった。
 そんな所に舞い降りたギルフォードの婚約話は、ファン国民を安心させ歓喜させた。

 お祭り騒ぎの中心である城も勿論大賑わい。
 王家の結婚式ともなると、各国からの招待客も王族なので、失礼が無いように準備に余念がない。

 そんな中、騒ぎを避けるようにファンの末姫キアルリアは裏庭の木の上にいた。

『行かなくて良いのか?』

 同じく木の上で器用に寝そべっている大型犬サイズの黒い猫は、金色の目をキアルリアに向けて聞いた。
 キアルリアはチラッと緑色の目を合わせると直ぐにそらして黙る。

『……ふ〜ん……』

 黒猫……というか、魔獣のグロウは特に何も言わずに、重ねた両手の上に顎を乗せた。


 キアルリア……キャラがゼビアからファンに戻って、早くも半年がたとうとしていた。
 ファンの守護神オーウェンに乗って帰ったため、1ヶ月以上の道のりも1週間ですんだ。
 ちなみに、オーウェン1人なら3日ですむ。

 城に着いたキャラを双子の兄は複雑な表情で迎えた。
 ラインハルトは罪悪感と安堵、ギルフォードは喜びと心配……しかし、そんな2人の気持ちを裏切るような行動をキャラはとった。
 まだ空にいるオーウェンの背から、ラインハルトに向かって荷物を思いっきり投げつけたのだ。

「どわあっ」

 まともに荷物の下敷きになったラインハルトを無視したキャラは、オーウェンから飛び降りてギルフォードに抱きついた。

「ギルフォード兄様、お久しぶりです」

「おかえり。キアルリア」

 一瞬だけ同情の目をラインハルトに向けたギルフォードは、キャラを抱き返す。
 荷物の下からもぞもぞと這い出したラインハルトは、ムスッとした顔でキャラを見る。
 当然と言えば当然なのだが、あまりにも態度が違うのでおもしろくない。

「……一応、寛大な態度で接してるつもりなんですからね」

「わかってる……おかえり、キアルリア。元気そうで良かった」

 別にもう気にしてないし、あんな事でもなければ城を出てゼビアに行く事もなかったので逆に感謝したいぐらいなのだが……悔しいので言わない。


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