別離の間〜Side:Z〜 -9
(なんでアンタが受付なんかしてんだよ?!)
顔を近づけてコソコソと話しかけたアースに、ミヤも質問する。
(人手不足なんですよ。貴方こそなんで此処に?)
(ゼビアの先触れだ。明日の昼過ぎに到着する。それより……)
アースは気になって仕方がない事を聞いた。
(ギルフォードの相手って……キアルリア?)
ミヤは馬鹿にしたような表情でアースに返す。
(……姫様はなんでアースなんかに惚れたのかしら……)
「んだと?」
「次の挑戦者に割り込みますわね。すぐ準備して下さい。ルールはあっちで聞いて。次の方どうぞ」
アースを無理矢理追いやったミヤは自分の仕事に戻る。
「こらっミヤ!質問に……」
「次の挑戦者!!」
アースの声は司会者に遮られ、そのままズルズルと会場に連れ込まれた。
会場は熱気に包まれ、暑いぐらいだ。
ルールは簡単なもので武器は木刀か棍棒。
相手が参ったと言うか、戦闘不能になれば勝ち。
アースは渋々と木刀を選んで軽く振り、バトルの相手を見る。
冒険者らしいその男は、アースより頭ひとつは大きく筋肉隆々。
どうやら3人抜きの後らしく、少し息が上がっている。
「へっ!!さっさと来いや!腰抜け野郎!」
男の言葉を無視したアースは主役席に目を移した。
遠くて良く見えないが、確実にあそこにキャラが居るのが……魔獣の勘でわかる。
「……けっ……」
面白くなさそうに唾を吐いたアースに、バトル相手が怒った。
「てめえ!!やる気あるのか?!」
別にお前にゃ興味ねぇよ……と思いつつアースは相手に言い返す。
「おぉ、あるぜ?お前の息が整うの待っててやったんだよ」
「なあにぃ!?」
男は今にも飛びかかりそうな勢いだ。
「アビィ、離れてろ。呼んだら来てくれ」
『キュイ』
アビィは一声鳴くとパタパタと何処かへ飛び去る。
アースはフードをかぶって顔を隠し、大きく深呼吸した。
「さてと……やりますか……」
成り行きで出る事になったが、やるからには勝つ。
アースは会場中心へと進めた。