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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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別離の間〜Side:Z〜 -5

「わかってっよ……」

 アースは上目遣いでいじけたように返事をする。

「絞られてんなぁ」

 様子を見に来た国王が笑いながら声をかけた。

「ドグ、ちょうど良かったわ。お手本見せてあげてちょうだい」

「儂でよければ喜んでお相手いたしますぞ。リン様」

 国王はことさら丁寧に返事をすると、リンに優雅な礼をして手を差し出す。
 にっこりと微笑んだリンはこれまた優雅に国王の手を取った。
 2人は床に座り込んだままのアースから少し離れた場所まで移動すると、流しっぱなしの曲に合わせてクルクルと踊る。
 背筋をのばしてリンをリードする国王は凛々しく、それに合わせて踊るリンはたおやかで美しい。
 2人のぴったり合った呼吸にアースはボーッと見惚れた。
 1曲踊り終えると、2人は離れて華麗に礼をする。

「さぁっすがぁ」

 アースはパチパチと拍手をして2人を褒め称えた。

「感心してる場合じゃないわよ!アンタが踊るのよ!アンタが!」

 リンはツカツカとアースに歩みより、ヒールの高い靴で頭をぐりぐりと踏みつける。

「くっそぉ……」

 悔しがるアースを見た国王は苦笑しながら懐から封筒を取り出した。

「気合い入れて体に叩き込めよ。2ヶ月後……ファンに行くぞ」

 ファンと聞いたアースはリンの足首を掴んでガバッと頭を上げる。

「ギルフォードが結婚するらしい。招待状が来た」

「ギルフォード……」

 アースは招待状を国王から受け取って内容を読んだ。

「……相手が書いてねぇじゃねぇか……」

 その招待状にはギルフォードが結婚する旨と、披露宴の日時が書いてあるだけで花嫁の名前はなかった。

「キャラじゃねぇか?」

「マジかよ!?」

 国王の言葉にアースは焦る。

「さぁなあ……しかし、だとしたらなんでギルフォードなんだ?」

 わざわざ妹姫と結婚するなら相手は長兄のラインハルトのほうが納得いく……と国王は首を捻った。
 それはライン兄ちゃんがゲイだから……など知っていても言えない……言えるはずがない。
 アースは招待状で顔を隠して苦笑する。


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