別離の間〜Side:Z〜 -2
キャラがファンに帰って3ヶ月……その間アースは体力回復に専念していた。
魔獣への変化と、それからの分離を短時間で行った体は思った以上にダメージを受けていたのだ。
最近になってやっと普通に仕事が出来るようになったのだが……連休が暇でたまらない。
騎士団に居た時の連休と言えば、魔力提供のために帰ったり、キャラに会うために帰ったり……とにかく、家に帰っていたのだが、家は分離の時の衝撃で跡形もなく吹っ飛んでしまった。
キャラと過ごした半年間の痕跡も全て……。
「キャラ……」
口から勝手に小さな呟きが出た。
「女々しい……」
シャワーを浴びていたアースは額を壁にゴンと当てて自己嫌悪に陥る。
会いたくて会いたくてたまらない……日々薄れていく記憶に恐怖すら感じる……。
サラサラのプラチナブロンド……吸い込まれそうな緑色の目……甘い唇……すべらかな肌……途切れる声……。
「……お前も会いたいよなぁ……」
キャラの事を思い出していたアースは、勃ち上がった愚息に話しかけた。
よしよしと撫でてやるとピクンと反応したので、そのまま握って上下に動かす。
「は……くぅ……」
アースはキャラの乱れた姿や喘ぎ声を想い浮かべながら手を動かし続けた。
(アース)
「ぁっ……キャラっ」
鮮明に頭に響いた呼び声に欲望が勢いよく吹き出す。
「はっ…はっ……なにやってんだか……馬鹿か俺は……」
シャワーのお湯と共に流れていく白濁液を眺めながら、アースは再び自己嫌悪に陥った。
モヤモヤしたまま国王の部屋に行くと、そうそうたるメンバーが揃っていた。
ゼビア国王を中心に、アースの義理の両親であり魔導師のベルリアとリン、騎士団長スオウ、宮廷魔導師のフィシュラ、バドリナ……ちなみに、後1人いた魔導師は最近お亡くなりになった。
そして、ゼビアを代表する貴族の当主達……。
国王の部屋なので狭くはないが、こんなに人が入るとさすがに狭く感じる。
うっかりノックも名乗りもせずにドアを開けてしまったアースは、全員に注目されてそのままの姿勢で固まった。
「はい?」
なんでこんな大人数でコソコソしているのか分からず、アースは間抜けな声を出す。
「まあ、こっち来いや」
国王はちょいちょいとアースを手招きした。
アースは何があったんだ、と表情だけでベルリアとリンに問いかけつつ国王の元へ歩く。
ベルリアは困った顔をし、リンは薄ら笑いを浮かべていた。
なんだかろくでもない事になりそうな気がして物凄く気が滅入る……。