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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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別離の間〜Side:Z〜 -1

 魔法大国ゼビアの王城の一角に、騎士団に所属する者達の宿舎がある。
 その宿舎には訓練場があり、正に今、若い騎士団員達が隊長を相手に自主練中。

「であぁぁぁっ!!」

 突っ込んでくる若い騎士団員を待ち構えていた隊長は、半歩横に動いてひょいと足を引っ掻けた。

「ぁぁぁぁぁ……」

ズザー……

 若い騎士団員は情けない声を出しながら顔から地面に滑り込んだ。

「突っ込んでくりゃいいってもんじゃねぇだろうが!!次」

 呆れた隊長は次に控えている騎士団員に声をかける。
 次の騎士団員は隊長との間合いを取りながら隙を伺っていた。
 片眉をあげた隊長は自分から攻撃を仕掛ける。
 驚いた騎士団員は思わず動きが止まった。
 騎士団員の腕を掴んだ隊長はグイッと捻って地面に押し倒す。

「相手の隙を伺うな、隙は作れ」

 手を離した隊長は立ち上がって次の騎士団員に目を向けた。
 蛇に睨まれた蛙のように動けずにいる騎士団員に、隊長が一歩踏み出したところで声がかけられる。

「こら。自主練で怪我させんじゃあねぇ」

 その場にいた全員が声のした方に振り向いた。
 声の主はゼビア国王……国王はヘラヘラ笑いながら訓練場に入ってくる。
 隊長を含む騎士団員がビシッと敬礼するのを、手を振ってやめさせた国王は歩きながら隊長に話かける。

「欲求不満を部下にぶつけてんじゃあねぇよアース隊長。溜まってんなら他の女抱け。キャラは気にするような女じゃあねっだろ?」

 国王の言葉に嫌な顔をした隊長……アースは言い返す。

「俺はアイツじゃねぇと勃たねぇんスよ」

 アースの返事に国王は大笑いした。

「ハハハッ!!よく我慢できっなあ」

 アースの女癖の悪さは有名で、勿論、国王の耳にも噂は届いている。
 それが、1人の女にここまで誠実だと、驚きを通り越して笑える。

「ほっといて下さい。で?何か用っスか?」

 アースは憮然として国王に聞いた。

「あ?ああ、大事な話があんだよ。2時間後ぐれぇに俺の部屋に来いや」

 国王自ら呼びに来るなど他の国では考えられない事だが、ゼビア国王はいつもこんな感じだ。

「了解」

 アースは敬礼して返事をすると、他の騎士団員に手を振って訓練場を出た。



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