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Crimson...Side story
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in Christmas-2

 それから一週間なんて、あっという間に過ぎていった。

 あれからリアナに何度か『欲しいもの見つかった?』って訊かれたけど、『見つからない』って答えた。

 やっぱりこれ以上迷惑をかけたくない。それにここで暮らせて、学校にも行かせてもらえて何も欲しいものなんてないよ。でも、ちょっとだけ……して欲しいことは……あるかもしれない。

 クリスマスイブの夕方、リアナとヒューイがわたしがお世話になってるリアナの実家にやって来た。でも、ロビンは2人が来る1時間くらい前に『友達のとこに行ってくる』って出ていってから帰ってきてない。せっかく皆で夕ごはんを食べようって決めてたのに、残念。


「メリークリスマス!」


 ロビン抜きの4人で夕ごはんが始まった。

 リアナのお母さんが作ってくれた七面鳥の丸焼き、ミートローフ、トマトパスタ、サラダ、パン、デザートにケーキ。どれも凄く美味しくて、食べててホッとした。

 お母さんがゆっくりと片付けだしたから、片付けくらいはってリアナと手伝いを始めた。


「リーちゃんはホント手際が良いわ」


 リアナのお母さんがわたしとリアナが並んでキッチンに立ってるのを見ながら、そう言った。


「?」

「…………」


 わたしはわけが解らなくて、リアナを見ると見事に顔を引きつらせ視線を泳がせてた。


「もう少し、料理出来るようになりなさい? 仮にも奥さんでしょ」

「うっ」


 図星だったみたい。

 確かにリアナはヒューイの奥さんだ。でも、リアナが料理出来ないって……。


「普段はごはんどうしてるの?」

「うぅっ」


 たまにしかこの家に来ないから、いつもはリアナが作ってるのかと思ってた。すると、リビングのソファに座ってるヒューイが小さく笑い出した。


「時間のある時は俺が作ってるよ。朝は毎日だし」

「ふぇー。ヒューイって料理出来るんだ。凄いねえっ」


 夕ごはん作れるって凄いよね。


「生きるために覚えたんだよ。リアナは壊滅的に料理のセンスがないから」

「ひどっ」

「パンをトースターに入れただけで消し炭にするだろ」

「うぐ」

「……すごいね……」


 さすがにそこまではちょっと……。わたしも少しは作れるけど、消し炭にしたことはないよ。


「まだまだねー。やっぱり結婚する前に叩き込めば良かったわ」


 呆れたようにリアナのお母さんが笑うと次はヒューイが視線を逸らした。


「リアナが16になって10日で結婚するなんて思ってなかったんだから。しかも、付き合いもせずに」

「えっ?」


 16で直ぐに? しかも、付き合ってないって恋人同士じゃなかったってこと?

 ヒューイはそっぽ向いたまま、窓の外を見てるから、代わりにリアナを見上げた。


「うん。ヒューイとは幼なじみだし、エクソシストになって暫く後には同じ隊にいたしね。ずっと一緒だったんだよ」

「へえぇっ、そうだったんだ! 凄いねぇっ」


リアナとヒューイってそうだったんだ。……いいなあ。傍に居てくれるひとがいて。


「リーちゃんにもいつか現れると良いわね」


 リアナのお母さんがそう言ってくれた。だけど、素直に返事が出来なくて、少し声が小さくなってしまったけど。


「……うん」


 会えるかな……。

 そんな不安を感じて胸に提げた十字架を服の上から握りしめた。


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