花嫁-3
<結婚式の会場に、一緒に下見に行って欲しい>
まゆからのメールにはそう書いてあった。
全く。女ってヤツは。
俺の気も知らないで、何でまゆと他の男が誓いのキスだかなんだかをする場所に
わざわざ足を運ばなきゃならないんだ。ったく。
そんな文句をたれつつ、浮いた気持ちで待ち合わせの場所に向かう。
遠目からでも、まゆの姿はスグ分かった。
「明ぁ、ここ〜!」
笑顔で手をふる姿が、胸に痛かった。
「早いな。まだ待ち合わせ10分前だぞ」
「ふふ。汗かいてる」
そっと、白いハンカチで汗を拭ってくれる。
あわててかがむと、頬にキスをしてきた。
「・・・あのなぁ」
「何よ、今更。」
「誰かに見られてたら・・・・・」
「見られてたら?」
「・・・・なんでもねぇよ」
「ふふ。可愛い」
かなわないなぁ。
「ここからね、教会はスグなの。身内だけのこじんまりしたのにしようかなって」
「いいんじゃん?」
「彼もね、そういうのがいいって」
別に、分かってた。いつかこんな日が来ることは。
どんなに好きだって、一つにはなれない。
それが法律だから。道徳だから。
姉が好きなんじゃない。まゆが、好きなだけだとしても。
「う〜ん。思ってたよりイイかな?」
「そうだな」
思っていたよりも教会は小さく、でも感じは良かった。
「あ・・奥のほうに小さなスペースがあるんだ」
「おい。姉貴転ぶぞ、走らなくても」
「明、来て来て!!」
教会の奥には確かに狭いスペースがあった。
白い箱ブランコが一台風にゆれていて、綺麗だった。
「ココで、ちょっとしたお茶会なんてどう?」
「いいんじゃん」
どうでも
「やる気ないなぁ」
まあね。
「そんなことはねーよ」
「もう・・・・」
どうでもいい。何でもいい。
相手が俺じゃないなら・・・いっそ・・・