六-1
仕方なくスカートを裏返しにして、恥部を手で覆った。
そんな春子の目の前で、男のいちもつはどんどんふくれ上がっていく。
「やりなさい」と男が急かす。
春子は悔しい顔をするだけで、まだ動こうとはしない。
「俺が犯してやってもいいんだよ?」
この人ならやりかねないと思い、春子は首でいやいやをした。
そしてあきらめた表情で股をさぐりはじめる。
男のほうも自らの竿を握ってしごいていた。
犯されるよりはましだという思いが、春子の背中に負ぶさっていた。
手指が膣をぐちゃぐちゃにしていたのだ。
いたずらに動きまわる指の行方が自分でも読めないでいる。
愛らしい女学生のオナニー。
これ以上のご馳走はほかにはない──。
男の目の色が変わった。
さらに春子の目の色までもが微かに変わっていた。
互いの醜い部分をさらけ出し、一方では陰茎が腫れ上がり、一方では陰唇が花開いている。
年の差を考えれば異常ではあるが、春子は男に命じられるまま、糸瓜を膣に逆立てていった。
男の性欲が満たされるのを待つしかないのだ。
自慰行為に身悶える少女の姿を目に焼きつけて、男は膝をがくがくと崩していく。
そして気味の悪い声を吹き出し、春子に向かって射精した。
手に、服に、髪に、白くまとわりつきながら春子を汚していく。
そんな仕打ちを受けていながら、春子は手を休めようとはしない。
気持ちがどこかに逝ってしまいそうで逝けない、まるで水に浮かんでいるみたいな気分だった。
それにつけても男の回復は早かった。
「素晴らしい娘だ」
そう言って春子を押し倒し、徹底的に犯してしまおうと狙いを定める。
春子にはもう男を拒絶するだけの力がなかった。
全身が火照り、正常な判断ができなくなっていた。
お父さん、ごめんなさい。
もうだめかもしれない──。
春子を見下ろす二つの眼球の鋭さといったら、それは肉食の獣を思わせるほど黒光りしていた。
くるものは受け入れるしかない、春子がそうやってあきらめたときだった。
ちぇっ、と舌打ちする声が聞こえて、男が離れていったのだ。
遠くのほうから人の話し声と足音が聞こえてくる。
それはだんだんとこちらに近づいてくるようだ。
町内パトロール中の地元消防団の一行が、この辺りを巡回しにやって来たのだった。
「また来るよ」
男は台詞を吐き捨てた。
しかし何事かを思い出した顔をすると、「今日あったことは誰にも言わないほうがいい。言えば春ちゃんが女々いじりをしていたことが、町中に広まることになる」と釘をさした。
生け垣の向こうで男と消防団がすれ違いざまに一言交わすのを、春子は黙って見送った。
あれだけのことをされていながら、涙が出てこなかった。
どこかに感情を忘れてきてしまったのだろうかと、表情一つ変えずに着衣の乱れを手で払う。
変色してぐったりと横たわる糸瓜だけが、猥褻な姿を見せていた。