魔法使いカインが成り上がろうと色んなことに顔を出して失敗して徐々に人脈を広げていって、それでも成り上がれないで色々頑張る話です

カイン：２６歳。魔法使い。
　　　　魔法使いとしての才能は平凡より下。
　　　　それでも成り上がりたい出世欲は人一倍。
　　　　利用するために悪いことはするが、悪人になり切れずに弱者を助けて　　
　　　　しまい、それで毎回失敗するお人よし。
　　　　

「あー今日も暑そうだなぁ」と魔法使い特有の広がった帽子をかぶった二十代半ぐらいの少しやつれた顔の男は呟いた。
彼が今いるのはオール大陸の中央に広がる巨大な森――通称、妖精の森と呼ばれる場所だった。
太陽の光も遮るほどの巨木達の中、湿気が立ちこもり、中に入ろうとしている男の頬に汗を流せる。
これからこの高温湿度の中を歩いていくのかと萎えるのをこらえて、彼は一歩踏み出し―――
「そこの男止まれ！」
足元に突き刺さった矢に動きを止めた。