PiPi's World 投稿小説
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No689-2011/08/17 00:46
女/桜井
SH3J-5ys4E6s0


誰かとの違いを理解されたいのだけど
誰よりも愛してほしいのだけど
誰でもなく私を受け入れてほしいのだけど

私もまた、誰かでしかないのでしょうね

ならばなぜ私には私という意志があるのでしょう
唯一を願ってしまうのでしょう

叶いもしないことならば、なぜはじめから願わずにいられる私ではなかったのでしょうか




とてもさみしい

とてもかなしい

つらい
つらい
とても
とても



この命と世界を切り離すことができたなら、私は泣かずにいられるでしょうか

幸せの意味を理解できるでしょうか
No688-2011/07/15 00:36
女/桜井
SH3J-5ys4E6s0
夕暮れの空を飛ぶからすは、その漆黒の小さな体で、まるでこの世界のすべての色を背負っているように見える。鮮やかな色にそこだけ光を遮って、そうしてそこに存在している。
光がなくてはここにいることを知られることすらできないのに、光の中でその姿は、まるで奥行きのない影そのものだ。

それは少し悲しいことで、けれどぼくらはそういうふうで。

世界は不必要に色鮮やかだ。ぼくらはそこに浮かぶ染みのように形を示す。
きみから見えるぼくはどんなふうだろう。
ぼくから見えるきみはとても美しい色を負う影だけれど。

ぼくは影でしかなく、きみも影でしかないとして。

いつか同じ色を背にして一つの影になれたなら、それはどんなにか幸せだろう。
No687-2011/07/12 00:45
男/デルタ
PC-8QneLL47
磨いて
擦って
何度も
何度も
君は
僕の素を見ようとした
でも、もう分かるだろ?

壊したいものがある
汚したいものがある
殺したいものがある
憎しみ妬み恨み悲しみ蔑みのココロが常にココに

僕の周りは黒に満ちている
違う
僕自身が、黒そのもの

そんなことないって
叫びながら
君は
僕を
純水で磨いている
何度も、何度も
けれどどれほど擦れど
圧倒的な黒の質感
ついに君の
その手は震えて
その目は濡れて
なぁ、もう分かるだろ?
それが僕だよ

きっと
そうさ
この感情から逃げられないなら
黒を認められないのなら
僕はいなくなるしかない
透明になるしかない

だから手を離してくれないか
No686-2011/06/24 00:19
女/桜井
SH3J-5ys4E6s0

あいしてる っていって
あいしてる っていって
お願い、あいしてる っていって

それだけで全部忘れるから
信じるから
微笑んでみせるから

あなたはハングマン
私はフール

あなたの あいしてる はどんな真理よりも私をささえる真実

それがたとえ、
それがもしも、
それがつまり、でも、それも、それは


だとしても、



あなたはハングマン
私はフール

そして、私たちは逆さまのラバーズ




ねえ、あいしてるっていって
No685-2011/06/20 21:18
男/マコト
SO905i-U8KUhpGc
誰もが
一人分の荷物を
背負って歩いてる

喜びも悲しみも
怒りも何もかも
詰め込んだ
荷物だ

大切なものはもちろん
捨てたいものだって
いつまでも持っている

最後が来たら
その荷物を広げて

一番底にある
最初に見つけた
温もりに
再び出会うんだ

その時
喜びも悲しみも
怒りも何もかも
すべてに
出会わせてくれた

最初の温もりに
ただ感謝して

人は
眠りにつくのだろう
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