PiPi's World 投稿小説
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No659-2010/08/11 23:42
官能小説家(PC)
今日もマイクを握り ステージで歌う 一曲ごとにパラパラと拍手を浴び 
笑みを浮かべ 丁寧に頭を下げる

テンポの良い曲には手を振り 手を横に広げオーバーに振る舞い
バラードには 悲しげな顔をし 声を押し殺し 寂しく訴え やがて終局を迎える
曲が終わると 大きく頭を下げ 最高の会釈をする 全ては終わった

少ないお世辞の拍手を浴び 舞台を降りる
何秒かの拍手は あっという間に消え やがてどんちょうは下がる
歌は終わり・・3分間のドラマは終わった

重い足を引きずり 楽屋に帰る 同じ人がいて 陽気に笑うもの 
戯ける者 色々いるけれどみんな孤独 衣装を脱ぎ捨てれば ただの人

歌がなければ何も出来ない人 歌でしか食えない人
だけど、歌が好き 好きだから歌う ひもじくても 食べるものが無くても
歌があるから生きられる

場末のうらぶれたクラブが私の職場 私の誇り 生き甲斐の場
歌が私の生き甲斐 歌が私の血液 それがわたしなりのマイ・ウエイ

楽譜が入った重い鞄を持って一人楽屋をでていく 私は売れないシンガー
それでも明日も明後日も歌う 私は売れないシンガー
No657-2010/08/11 16:44
荒廃(SN3J)
何か大層なものに
成ろうと
それを願って

でもさ
気づいたんだ
俺は何も特別なんじゃなくて
結局社会に属する大多数の一つ

それが
哀しいとか
つまらないとか
もうそれも
感じない

夢とか
希望とか
形容される何かに
振り回され
絶望する日には

誰か
何か
言って

貴方はよくやっているよ
頑張っているよ

そう言ってよ。
No656-2010/08/11 03:59
フロムポスト(PC)
顔を近づけて君を見る

美しくない
汚くないだけ
進んでない
止まってないだけ

辛かったねと、君は言う
辛かったよと、ぼくは言う

お互いの痛みなんて知らないのに

ぼくらは寄り添う
傷の舐め合い
ぼくらは寄り添う
ただの気まぐれ

痛くない
感じないだけ
寒くない
暑くないだけ

それが良いと君は言う
それで良いとぼくは言う

不幸じゃない
幸福じゃないだけ
生きていない
死んでないだけ

喋らない
叫ばないだけ
殺さない
どうでもいいだけ

死にたいね、ときみは言う
なぜ、とぼくは言う
なんとなく、と君は笑う
No655-2010/07/28 23:25
官能小説家(PC)

優しい母の胸のように
包み込む愛の心
香しきその髪のそよぎ
麗しきその瞳の輝き
その澄んだ愛の心

その白き柔な乳房と
えも言われぬ甘美なるその声
この胸に抱かれ
その胸で安らぎ 
そして眠る

優しきもの
美しきもの
汝の名は女なり
 
No654-2010/07/28 22:36
デルタ(PC)
その涙のわけを尋ねてみたら?
言葉は、そのためにあるのでしょう

そっと慰めの声をかけてみたら?
君は、そのためにいるのでしょう

ずっと寄り添ってあげたら?
世界は、そのようにできているのでしょう

最期は誰でも独りなのだから
最期まではふたりでいいのですよ

それならば
と、神に問う

あなたはどうしてひとりなのですか
世界が憂いに満ちているのは
あなたの業ではないのですか

答えはなく
ただ雨が降る
その訳を
そっと尋ねてみようか
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