PiPi's World 投稿小説
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No686-09/13 01:57
sibwo(D903i)
本当の事なんて誰も知らない。
あの3人くらいが固まって話している事が僕の悪口かどうかなんて。
あの笑顔の裏側に、どんな企みがあるかなんて。

もう詮索するのは疲れた。
そして恋をしなくなった。

そんな人間なんていないって奴は言う。
でも現実にいるんだよ。

こんな事しか考えなかった思春期。
誰もいない部屋の隅で。
No685-09/13 00:34
白いフクロウ(811SH)
「知ってるんでしょ?」
そうぼくに問う彼女。その声は、そしてその視線は、絶対零度。それだけで逝ける。
「い、いや、しら、しら、しら知らない、知らない知らない」
声が震えてうまくしゃべれない。我ながらすごく怪しい。
だが、ウソ偽りなく本当に間違いなくまごうことなくどうしようもなく知らないものは知らないのだ。
「……でも、この女性下着は間違いなくあなたのベッドにあったのだけれど?」
やたらと可愛らしいランジェリーをつまみあげ、彼女はぼくを凝視している。
(ああ、殺意で後ろの棚が歪んで見えているよ……)
ぼくはわずか0.02秒の間で、この状況を打破できる作戦を生み出すために頭を全力でフル回転させた。
(なにか! なにかないか! なにかなにかなんとか! なにかなにかなんだかなんとかなんなんだなにいってんだ!?)
限界突破の回転の結果、3つの作戦が生まれた。

『1,謝り慈悲をこう
 2,真実をのべ、信頼の絆を信じる
 3,戦う』

(1は……ダメだ! 男らしくないし、第一許されなかったら、逝く! よし、2だ!)
3は刹那のスピードで選択肢から消えていた。
「聞いてくれ。オレは本当に……」
「聞かないわ」
ザクッ


『本当』で
No684-09/12 00:39
ソロ(P902i)
笑みを浮かべた表情のまま、コイツはいとも簡単に言ってのけた。
「空なんか、誰にだって飛べるんだよ。ほら、あそこで鳥が飛んでるだろ?同じ生き物だもん。人だって飛べるよ」
物理とか摂理とかそういったものを一切度外視して、さも当たり前のようにほざきやがった。

いいだろう。
俺よりアンタの方が頭が良いんだ。いつだってアンタが言ったことに間違いはなかったんだ。
イカロスの二の舞い?
上等さ。
付き合ってやるよ。
その夢のような夢に。

こうして、俺達兄弟の無謀な挑戦は、周りからの侮蔑や非難を浴びながらも何度も繰り返され、その度に確実に現実へと近付いていった。
その試みが、やがて数世紀の後の世に世界の偉大な兄弟・『ライト兄弟』として讃えられるとも知らずに。


偉人は偉人として生まれたから偉人なのか。
それとも些細な一言で偉人になれるのか。
とにかく、何事も挑戦あるのみ!ってことですね。

では、次は「知」でお願いします。
No683-09/11 01:29
凪(912SH)
「逃がしたか……」
 ちっと舌打ちした後、彼が言った。

「もういいじゃん、忘れようよ」
 すぐカッとなるこの性格のおかげで、何回デートを台なしにされてきただろう。

「いいわけあるか! ひとの彼女に言い寄りやがって」

 まあ、たまにこんなことを聞いちゃったりもするから、許しちゃうんだけどね。

 男は熱いほうがいい、絶対に。
 甘い言葉を始終囁かれるよりも説得力があるし、なにより、大事にされているんだと実感する。
「もぉう。急に走ったら汗かいちゃった。どっか入ろうよ〜」

 わざと甘い声でそう言いながら、彼の腕を引っ張った。

 単純な彼のこと、幾分か気分が和らいだ様子。
「どっか、ねぇ」
 そうつぶやくと、意味不明な笑みをし、キョロキョロとあたりを見回した。

「んじゃ、とりあえず」
「パスタね!」
 彼の言葉を遮って言った。
「……の、前にまず軽く運動を」
「え〜! さっきしたじゃん!」
「そんな、かわいぶってもダメね。汗かいたんだろ? さ、いこ」
 手をにぎり強引に引っ張って歩く彼の背中を見つめ、私はそっとほくそ笑んだ。

Next→「笑」で
No682-09/11 00:50
ラクシェア(TS3C)
『ありがとう人間諸君。』
慣れた動きでお辞儀をする。 少し見ただけでは、奴はただのメイド服の少女だ。
だが月光に照らされて映るその両手を赤一色にしている大量の血液と傍らに転がる死体を見れば、奴がただ者では無い事は一目瞭然だ。
『あぁこれで殺めた英雄は2008人、何時からか始まった西暦との競争。私はようやく抜く事が出来たようだ。
我ながら難しい条件を設けたものだよ、稀代の英雄しか数に数えないとは。
いやいやしかし、凡愚な人間を2008人殺めたとて何の価値も無いものだ。』
チッチッと語りながら前髪を弄るためいつしか血が髪を赤く染めていた。
『さて今宵はこれにて幕を引こうか。
あいや暫く! 席を御立ちになりませぬように、我はすぐに立ち去る故、寄るな、追うな、殺させるな。
君達のような凡愚の血で英雄の血を汚したくはないのでね。』
私達、警察を見下した目で見て笑いながら、奴は影に包まれていった。 月明りに照らされている筈なのに黒く見えなくなっていったのだ。
『また………逃がしたか。』

私は敢えて指定しよう、『逃がした』で。
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